目黒駅の東側にあるお店です。
前回は2階のテーブル席で肝腎のとんかつもそっちのけで同席の人と話に興じてしまったので、今回は1人でやってきました。
結論を先に述べると、ここのは「とんき」という別の食べ物なんだと思ったほうが納得できます。
「とんかつ」の名店だと思って来ると、口にしたとたんに、あれ、と思う人のほうが多いのではないでしょうか。…いや、実は私が普段食べているものが「とんかつ」とは似て非なるものだ、という可能性も否定できないんですけど。(←「名店」という言葉に弱い奴)
しかし、この店のカウンターでのサービスぶりは一見の価値がある、というのは確かのようです。
それから、キャベツとご飯とみそ汁(=すべてお替わり自由)はおいしいので、たらふく食べたい人にもよいのではないでしょうか。
特にみそ汁は、具が豚肉の豚汁ふうで、その辺の店で出てくるような当り障りのないみそ汁より格段においしいです。
さて、店に入ると、カウンター内に注文取り専門の人がいて、「ロースとヒレと串カツです。どれにしますか?」と聞かれます。席につく前に注文を済ませるようです。
カウンターには空席も見られましたが、壁際で座って並んでいる人が大勢います。……てっきり複数連れの人たちが待っているだけで、一人で来た私はすぐ座れるのかと思いきや、順番のようで、待つように言われます。
2階席ではすぐ席へ案内されましたが。
注文取り専門の人は、カウンター内の配席も担当している模様です。
うまく人数分の空席を作って、順番が変わらないように誘導しています。
回転すし屋なんかだと、たとえば3人組が先に待っていても、2人分とか1人分の席ができると、あとから待っている2人組とか1人客が先に案内されたりするところです。
……かといって、手際の悪い店のように、いくら順番だからといって空席がいくつも点在しているのに、先客のグループがまとまって座れるまで手をこまねいている、、、という様子でもありません。
注文取り兼務とはいえ、配席専門に一人雇って目を光らせているだけあって、そこは経験(?)か何かによるノウハウがあるように見受けられました。
私の順番が回ってきたとき、指示された場所には2人分の席が。
たいていなら、「…●○○●●●…」という具合に空いていればどちらか好きなほうに座ってよいように見えますが、左側に座るように言われます。
ふと見ると、右隣の3人連れの人たちがそろそろ食べ終わりそうです。
考えてみれば、私が右側に座ってしまったら、その人たちが帰ったあとに「●○●○○○」と、私の左側が1席だけ空いてしまうことになります。
案の定、「●●○○○○」と4人分の空席がまとまってできたわけです。これなら4人組を案内することもできれば、2人組+2人組も案内できます。もちろん、1人客+3人組とかでもいいんですが。
注文を先にしていたので、どこぞのラーメン二郎のようにすぐ出てくるのかと思いきや、さらに待たされます。でも、…時間を測ったわけではないものの、2階席ではもっと待たされたように思うので、注文をしてから出てくる時間はあまり変わらないのでは、と思います。
カウンター席は、待っている壁際のイスよりも目線が1段高くなるので、カウンターの中がよく見えます。
カウンター内はほぼ分業が徹底している様子です。
先ほどの、注文取り+配席担当の人のほかに…
・カツに衣をつける+フライヤーに入れる人(2人)
・フライヤーから引き上げて、包丁で切る人(1人)←ベテラン?
・皿に盛り付ける人(1人)
★配膳+お替わり+会計その他担当(2人+1人)←新入り??
(専属2人のほか、“衣係”のうち1人もこれもやっている)
・その他、担当がよく分からないけど電話が鳴れば出るなど動いている人(1人)
あと、カウンターとは仕切られた向こう側に、皿洗いや、ご飯を炊くなどするおばちゃんが2人ほど見えました。
似たような顔の人が何人か見受けられたので、もしかしたら家族や兄弟か何かで店を切り盛りしているのかもしれません。(推測ですが)
さて、「接客」という場面で直接関わるのは、↑で★の人です。
「キャベツのお替わりいかがですか?」とまわってきたり、「ご飯、お持ちしましょうか」など声をかけてくれます。
…まぁ「ロースカツ定食1650円」ですから、そのくらいサービスしてくれても当たり前って言えば当たり前なんですけど、ご飯のお替わりを4回ほどしたところ、、
1回目(2杯目)…最初に盛ってあったのと同じ
2回目(3杯目)…明らかに大盛り
3回目(4杯目)…同上。
4回目(5杯目)…少なめ。
どうやら、客の様子を見ながら加減しているようです。
4回目のお替わりのときは、この調子でもう1杯は食べられないよなぁ…と迷っているときに「ご飯お持ちしましょうか?」と声をかけられてお願いしたら、みごと少なめに盛ってきたので、これはまさしく感激ものでした。
最後には、もう一度おしぼり(暖かいもの)を持ってきてくれます。
私は持ってくるより先に会計をお願いしてしまいました(クレジットカードは、レジが2階にあるのでエレベータで送ったりして時間がかかる…ので)が、周囲の様子ではやはり客の様子を見て持ってきているようでした。
……早く帰れ、というメッセージではない、、、はずです。
こういうのは個人経営(?)の名店とされる店だからできるサービスなのかもしれません。
株主など大勢の人の目が光る企業だと、冒頭の「注文取り+配席担当」の“プロ”なんて真っ先に合理化の対象になりそうです。
(最近だと、キオスクのおばちゃんが「レジ導入」で契約社員に置き換わったのがよい例)
キャベツだってご飯だって、従業員のほうから薦めなければ食べない人もいる(=余計なコストがかからない)でしょう。その都度注文に応じていたほうが、カウンターに配置する人員も少なくて済むかもしれません。
経営者がうまくIR活動をして(←重要)投資家が納得してくれればよいですが、そうでなければ、あっという間に経営者ごと交代させられてしまいそうなご時世ですし。
というか、最初に結論付けたように、こうしたサービスがなかったら、この店でわざわざ「とんかつ」…じゃなくて「とんき」という食べ物を食べようとは思わないような気もするんですよね。
あ、それから、Web上でいくつか記述が見られた「カウンターのテーブルの白さ」ですが、「いもや」(←水道橋や早稲田にある天丼やとんかつの店)のほうが「揚げ物の店なのに!」という白さの驚愕度は上です。(「いもや」は漂白剤で拭いているのでは…というくらい白い)