師走の衝撃3連発

 2016年の12月(特に上旬)は、それまで身近にあったものや習慣だったものが急になくなる、ということが相次いで、なかなか凹む時期でした。

 まずは、いちかわエフエムの放送休止。

 番組制作からは離れたとはいえ、リスナーとして毎週楽しみに聴いていた番組もあったのが、運営会社が12月1日に自己破産を申し立てて11月末限りで放送を休止してしまいました。

 事前の予告も何もなかったので、毎週録音してその後1週間で聞くのが習慣だった身には衝撃たるや大きかったです。


 次に、旧知の知人の引退宣言。

 同人誌(というか一人で作っているので正確には「個人誌」)を作る趣味がある旧知の知人がいまして、コミックマーケットなどの同人誌即売会ではかれこれ10年くらい売り子を手伝っていました。

 今冬のコミケを最後にしばらくお休み(というか引退)したい、とのことで、特に今回は手伝いも不要、と告げられたのが12月5日でした。


 あとは、実家の家業の後継者問題。

 後継者として期待していた方から、その点について断られたのも12月5日でした。

 父の年齢も考えると、あと数年以内に見通しをつけなければ、事業を他人に譲渡するか廃業が視野に入ってきます。……自宅併設なので、譲渡となれば自宅ごと売却する線が濃厚になるでしょう。

 祖母が住んでいた父の実家は現在住む人もなく、祖母が遺したわずかな貯金から支払っていた固定資産税も底をついて持ち出しになり始めたとのことで、こちらはすでに売却する方向で話が進んでいます。

 社会人になって社員寮暮らし〜自分で購入したマンション暮らしを始めてからは少し距離を置いていた実家ですが、家業も自宅も消滅しそうな事態を目の前にすると、かなりうろたえてしまう自分がいます。


 これほど立て続けに相次ぐと、心の整理をつけるのもなかなかしんどいものがあります……。
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市川エフエム放送の自己破産申請に対する私見(3)

 12月1日に突然放送が流れなくなって翌日に「お知らせ」が掲載されたわけですが、読売新聞千葉面にはいちかわエフエムの番組表が毎日掲載されていました。

 12月1日付朝刊の紙面はどうだったのか気になって、古新聞の山から引っ張り出してみました。

 すると、11月30日付には番組表が掲載されているのに、12月1日付には載っていません。……少なくとも、読売新聞の朝刊締切時刻の時点で、放送がないことは読売新聞に伝わっていたことになります。

 12月3日の読売新聞千葉面「市川エフエムが自己破産申請」の記事には、11月30日付で放送休止届を監督官庁へ提出したとあります。

 (まだ放送が続いていた)11月30日に提出したのか、それとも11月30日付で放送を休止すると書いた書類を12月に入ってから提出したのか、記事だけでは読み取れませんが、12月1日付朝刊に番組表が載らなかったことから推察するに、突然のようでいてあらかじめ決まっていて関係する人には知らせてあった放送休止だったように思われます。

 ……まぁそりゃぁ、自己破産の申請をしようというのにある日突然思い付きでやるわけがなくて、関係者(特に債権者)には知られないようにしつつ、かつ段取りは着々と踏んであったということなのでしょう。


 そのほか、元Web担当の方のTwitterブログには

当アカウント担当者の退職に伴い、いったん鍵をかけました

ブログについて、当アカウント担当者の退職に伴い、従来公開していた記事はいったん非公開に設定しました。

>いったん鍵をかけました
>いったん鍵をかけました
>いったん鍵をかけました

>いったん非公開に設定しました
>いったん非公開に設定しました
>いったん非公開に設定しました

とあり、「いったん」=しばらくの間、一時、の意味(goo辞書)だとすれば、再開があるかのようにも読めます。

 もっとも、放送局が再開するのか、単に時間がたってほとぼりがさめたらアーカイブ的に再度公開して元社員の方の個人的なツイートやブログの更新をされるつもりなだけなのか、そこは分かりませんが、気になります。


 さて、法人としての市川エフエム放送が解散へ向かうなか、放送局が続く道があるとするなら放送局事業の譲渡となりますが、事業譲渡となれば従業員の雇用も引き継ぐことが考えられます。

 Web担当の方はいったん(?)退職されたようですし、(さっそく次の仕事を見つけられているなら別として)路頭に迷わせないようにするには失業保険の給付が切れる前に放送局が再開しなければならないでしょう。


 そんなふうに考えていたなか、12月15日付の官報に市川エフエム放送の破産手続開始が告示されていました。

 それによると「財産状況報告集会・一般調査・廃止意見聴取・計算報告の期日」(いわゆる債権者集会)は平成29年3月13日とのことです。

 破産管財人の方が現在の市川エフエム放送が持つ換価できる資産を調査して債権者に配当の見通しを報告して、破産手続きの廃止に関する意見を聴取する日が3か月後というわけです。

 そこで債権者がほかに財産があるはずだ! と主張して破産管財人の方が引き続き調査するのでない限りは、おそらくその日からそれほどの日を置かずに破産手続きは終了して市川エフエム放送は名実ともに消滅することになるのでしょう。


 新規に後継法人を立ち上げるか既存の法人で引き受けるところを探して事業を買い取るならば、その間にということになりそうです。

 事業譲受にどれだけの対価が必要なのか……破産管財人や裁判所次第ということになりそうですが、たとえば入札ということになれば、どういう応札があるかによるものの、もしかすると新規に放送局を立ち上げ直すのに比べれば安価に事業譲渡を受けることも可能なのではないか……そんな気もしています。
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市川エフエム放送の自己破産申請に対する私見(2)

(続きです)

 法人としての市川エフエム放送が赤字経営続きだったところへ、さらに数千万円規模の損害賠償請求を受けて立ち行かなくなったようだ、ということはなんとなく分かりました。

 毎週楽しみに聴いていたリスナーとして気になるのは、「放送局が今後どうなるのか」です。


 市川エフエム放送という株式会社は自己破産を申請したので、これが認められて破産の手続きが進めばこの法人は消滅へ向かうことになります。

 それでいて、12月3日付の読売新聞千葉面「市川エフエムが自己破産申請」の記事によれば、

同社は総務省関東総合通信局に11月30日付で放送休止届を提出し、今月1日以降、番組の放送を取りやめている。廃止するかどうかは未定という。

>廃止するかどうかは未定
>廃止するかどうかは未定
>廃止するかどうかは未定

とあります。

 放送局(無線局)免許を持った法人が消滅へ向かうのに、放送局を廃止するかは未定、ということは、事業を承継する法人(または個人……ですが個人の可能性は限りなく低い)が現れることに含みを持たせていることが考えられます。

 コミュニティ放送の事業者が途中から変わった事例には、エフエムわいわいが「株式会社エフエムわいわい」から「NPO法人エフエムわいわい」(株式会社とNPO法人は同名でも別法人)に移行した例、エフエムせたがやの運営主体「株式会社エフエム世田谷」が「株式会社世田谷サービス公社」に吸収された例があり、当初の事業者が消滅することがすなわち放送局の廃止を直接は意味しないことになります。


 破産の手続きを進めて債権者に配当を支払うには、市川エフエム放送が換金できる資産はすべて売却して現金化することになりますが、換金できる資産といっても、スタジオで使われなくなったミキサーやマイク、アンテナ、オフィス家具や何か……中古品として売却するにしても「がらくたの類」しかないのではないでしょうか。(推測)

 放送局事業を譲渡できるならば、債権者へいくらかそれなりに配当を支払えるに違いないです。


 放送局事業の譲渡に目途がついているのか、そうでないのかは不明ですが、もし目途がついているなら突然の放送休止を経ずにスムーズに譲渡されているのではないかと推察します。


 そうすると、放送局の存続を目指すなら、既存の法人で引き受けてくれるところを探すか、新しく立ち上げなければいけないことになります。

 新しく立ち上げるなら出資者を募ることになりますが、現在の市川エフエム放送には、市川市をはじめ、市内の都市ガス会社、信用金庫、大学、食品メーカー、青年会議所、新聞販売店、ケーブルテレビ会社など、市内の名だたる主要な企業や法人などが出資していました。

 現在の出資者にしてみれば、現在の法人が破産して出資した資本金すら返ってくるめどもないのに、同じ(黒字運営は難しい)ビジネスをやるのでまた出資してくださいと言われても即座にOKとはおそらく言わないでしょう。

 では、市内の主要企業を抜きにして放送局事業の譲受に必要な金額の出資は集まるでしょうか……。


 ここで思うのは、(鉄道が趣味なので引き合いに出しますが)北海道でいま言われている「マイレール意識」のような、「マイ放送局意識」なんじゃないのかなぁということです。

 自治体や市内主要企業などの誰かがお金を出してくれるというのではなく、聴いたり参加して楽しんでいる自分たちでお金を出すこと「も」必要なのではないかと思うのです。


 リスナーや市民スタッフの中には、可処分所得がそれなりにある人もいるかもしれません。

 開局当時は学生だったスタッフには、社会人になるとともに聴く側にまわったものの現在はそれなりの企業に勤めたり事業に成功して可処分所得が比較的ある人も、なかにはいるでしょう。たぶん。

 5万円を200人から集めれば1,000万円にはなります。


 確かに一つだけ言えることは、破産手続きが終了して現在の市川エフエム放送が放送局の免許とともに消滅する前に放送局事業を承継する法人を立ち上げるか、既存の法人で引き受けるところを見つけなければ、放送局の存続はほぼないということです。
(いったん放送局が廃止されて再度ゼロから放送局を始めるには、法人を立ち上げるほかに放送局の免許を新しく受ける労力が必要になります)


 仮にそうするとして、具体的に誰が中心になって動くのか……ということでしょうが、どうでしょう。

 少なくとも私は会社勤めですっかり忙殺されている身で、法人立ち上げなどに奔走することはできそうにありません。

#出身大学のサークルOBOG会の仕事も全然できてなくてごめんなさい……。

(続くかも)
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市川エフエム放送の自己破産申請に対する私見(1)

 千葉県市川市のコミュニティFM局「いちかわエフエム」が、12月1日に受信できない状況となり、翌2日に公式サイトに「お知らせ」の掲載が確認されました。

お知らせ

 市川エフエム放送株式会社は、12月1日、千葉地方裁判所に自己破産の申立を行い、同日、受理されました。

 いちかわエフエムは、2016年11月30日午後11時17分より、放送を休止しています。

 いちかわエフエムは番組の過半が市民ボランティアによって制作されていて、私も学生時代に週1回の番組を毎週担当したほか、社会人になって以降も6年ほど前まで、ときおり特番のお手伝いをしたことがありました。(たとえばこのとき


 現在は番組制作からは遠のいたものの、住まいはいちかわエフエムが聴けるエリアで探しましたし、週末を中心に毎週楽しみに聴いていたので、突然の放送休止には衝撃を受けました。

 12月3日付の読売新聞千葉面に「市川エフエムが自己破産申請」と記事が載りました。記事によると監督官庁に放送休止の届け出を済ませたものの、放送局を廃止するかは「未定」とのことです。


 お気楽に番組制作だけをしていた立場でも、会社としての経営は決して楽ではなさそうなことはなんとなく感じていました。

 市川エフエム放送は市川市も出資する第三セクターで、県のWebサイトに県内市町村の総合的な財政状況が掲載されているところによると、2005年(平成17年)度の市川市のファイル(←PDF)に関係する第三セクターとして市川エフエム放送が載っていて、単年度でおよそ700万円の赤字が計上されています。

 上記の読売新聞の記事にも

赤字経営が続き、業績を改善できなかった

とあります。


 ……そうはいっても、赤字経営続きのコミュニティ放送局なんて全国にあまたあるわけで、突然何の予告もなく放送を休止して自己破産申請とは、何か事情がありそうです。


 市が出資する第三セクターが破たんしたなら市議会で取り上げられる可能性があると思っていたところ、市川市の三浦一成市議会議員のツイートによると、市当局から議会の会派に説明があった様子で、

安全配慮義務違反により3000万円の損害賠償請求を受けていたこと、市川エフエムの委託料は法務省に供託している旨、報告がありました。

ツイート中の写真に写っている資料のようなものによれば、3,000万円の損害賠償請求を受けていて、さらに8月31日には千葉地裁から市川エフエム放送が市川市に対して持っている債権(=市の広報番組の放送委託料)の差押命令があり、市川市が支払う委託料は市川エフエム放送に支払われず法務局に供託しているとのことです。

 損害賠償請求とは何があったのか、Googleで「市川エフエム放送」と検索しようとするとサジェストで「市川エフエム放送事件」と出てきます。

 一部の法律事務所が判例を引用したブログを書いているところによると、従業員が亡くなられた過程に安全配慮義務違反があったとして3,000万円の支払いを命じられているそうで、「安全配慮義務違反」と「3,000万円」が一致することからおそらくこの事案ではないかと思われます。


 市川市がスポンサーになった番組の放送料が差し押さえられているということは、推測になりますが、他のスポンサーのCM料金も同様だとすれば、9月以降の市川エフエム放送は現金収入がほぼ絶たれた状態だったことが推察されます。

(続きます)
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