「じゃぁ、指示があるまで待合室で待ってな!」
ええっ!?
合格でいいんですか?
……もちろん、受かるつもりで受けに来たとはいえ、そう思わずにはいられない試験でした。
前回は最初の課題である方向変換で4回切り返しをしてその場で試験中止でしたが、今回は一応完走しました。
試験官は前回の無口な若い方と違って、初老の割と気さくな方。
「今日は1コースだからね、右バックだ」
「1コースは初めてです」
「なぁに、右バックか左バックかの違いだよ。けん引1種はここで取ったんだろう?」
「いえ、教習所でとりました」
「そうかぁ、いつ取ったの?」
「1ヶ月前です」
「じゃぁ教わったとおりにやればいいや、ここじゃ教えられないけどな、ハッハッハ」
、、、そんな会話で慣らし区間を終えて試験区間へ。
さっそく方向変換で、前回の反省からあんまり前へ出さずにバックを始めると、あ、しまった、前へ出さなすぎた、、、どうしよ、、、と思った瞬間
「バックで入れるだけならいいけど、『方向変換』だからね、それじゃ出られないよ」
切り返し1回目。
今度はもう少し前からバックを始め、凹部に無事押し込んでもう少し下げようかと思ったところで
「ん、前と後ろが真っ直ぐになればいいんだよ、これでいいの。サイド引いて意志表示して」
、、、切り返し1回は減点なしですが、慣らし区間での「ここじゃ教えられないけどな」という言葉が引っかかります。
その後も、踏切で窓を開けて列車が来ないか音で確認したあと
「きょう暑いから窓閉めなくていいよ」
に続いてS字の進入で (教習所とは逆に左折で進入=実質的にクランク状態)
「窓開いてるんだから前輪の場所よく見て。ほら、あんなに右側開いてるじゃない。コースはギリギリに造ってあるからね。バックしてやり直して」
ほかにも、交差点を徐行で右左折したつもりでいると
「ここは見通しがいいんだから、クルマが来てなきゃどんどん行く! 円滑な走行だよ!」
「見通しいいのに何度も確認して『発進手間取り』取られる人多いんだから!」
おまけに、最後の停止で左ウィンカーを出すのを失念したところ
「教習所じゃウィンカー出さなかったのかい?」
私の頭の中では完全に、「完走はさせてくれたものの合格ラインは下回っていて、だから次回へ向けたアドバイスをたくさんくれたのだ」と思って試験を終えたのです。
そこへ、冒頭の言葉が試験官から来たもんで、耳を疑いました。
(前回はワンポイントアドバイスのあと「次回の予約をしてお帰りください」だった)
確かに、前段はあるにはありました。
慣らし区間の会話のほかにも
「大型二種はここで取ったんでしょ?」
「それも教習所で取りました」
「うわぁ、けん引一種も大型二種も教習所で取ったなんて、高橋さんはお金持ちだねぇ」
「、、、そ、そのぶん、みっちり教えてもらいました。。。」
「けん引の教習車はメーカーどこだった?」
「ええっ!? そこまでは見てなかったです」
「いすゞとか日産とか日野とかあるでしょう、エンブレムを外している教習所もあるかもしれないけどさ」
「大型二種はいすゞだったんですけれども、、、」
いわゆる一般的な(?)免許マニアは教習所で取れる免許も一発試験で取得していて、けん引二種を受ける頃にはコースにも車両にも慣れているところ、私は試験場のコースも2回目(しかも前回は方向変換の途中で試験中止)なら、けん引試験車も勝手が違うハンデを考慮してくれたのでしょうか?
S字の進入で指摘を受けてはじめて気づきましたが、教習車と試験車で前輪の位置が微妙に違う(ような気がする)んです。
試験車は教習車より少し後ろに前輪があるので、教習所の検定と同じように進入したのでは“寄せ”が足りないわけです。
(逆に、試験車の感覚で教習所の卒業検定を受ければ、確実に脱輪する…はず)
方向変換、S字ともに、やり直すよう指示されてからは一発で決まったことからも、最初の失敗は単に試験車・試験コースに不慣れなだけと受け取ってもらえたのかもしれません。
それと、最後のウィンカーは、もし失念したままでも「合図不履行」で減点は5点です。……方向変換とS字が切り返し1回=減点なしでしたから、合否には影響なかったのかもしれません。
それでも、試験官の言葉は「試験官補助」に当たらないのかなぁ…と待合室で1時間ほど待たされている間ずっと思っていたわけです。
「試験官補助」は、補助ブレーキや補助ハンドルはもちろん、「口頭でこれに代わる指示を行った場合」もそうなのですよ。
むむむ。。。
とにもかくにも、何の縁もゆかりもコネもない試験官のもとで合格したことは事実です。
今日は自衛隊の人が制服で受けに来ていましたけど、こういう人や、バス会社の人が社用で受けに来ていれば、やっぱり採点が厳しすぎることはないんだろうなぁと推測するわけです。
#ああいう人たちは一般人とは違い、免許を手にして自衛隊やバス会社に戻ったあとも引き続き訓練を受けることが分かっていますから。
自衛隊の制服でも、バス会社の制服でもなく、私服で受験して無事受かったからには、堂々と胸を張っていればよいのですよ。ねぇ。
出発点に戻る直前の障害物回避のあたりで言われた、「さすが教習所を出てるだけあってスジがいいねぇ」という言葉を信じたいと思います。