「時間のかかる料理店」 ミセス・ロビンソン

IMGP0847.jpg twitter上で私が北海道にいる旨をつぶやいたところ、いとうあ氏から

稚内まで行かれるんすね。昨年夏抜海の宿に止まった時、兜沼の近くの「ミセス・ロビンソン」という食事出てくるまでに超時間がかかるけど超美味い洋食屋があるという話をききました。よろしければ行ってみて感想聞かせてほしい http://bit.ly/aJmL1f

と返信がありました。

#昨晩以来、なんていう店だったっけ、という段階で誰からの返信だったかも思い出せず、このほんの2日前の返信をTL上から探し出すのに苦労して、諸悪の元凶QT(=引用つき返信)が多すぎる某嬢のフォローを外しました。みんなやってる、って、友達が少ない自分(←重要)の周りでツイートがQTばっかり(←もっと重要)でしかも突出して数が多い(←さらに重要)のはあなただけです! …が、別にあなた自身が嫌いじゃないですので念のため。。。>私信


 旅行も後半で、特に予定が決まっているわけでもなく、行ってみることにしました。

 ……にしても、電話番号の入力だけできちんと現地まで案内してくれるソニーのポータブルナビ(というか内蔵の地図を作っているはずのゼンリン)はすごいですね。13時半に入店。


 さて、この手の店は下川町の「モレーナ」で経験済みなので、「注文してから出てくるまで1時間かかる」と知っていて入店すれば、そこは私にとって天国ですよ。むふふん。


 店主(この人が「ミセスロビンソン」?)が一人であれこれやっている間に、10分ほどじっくりとメニューとにらめっこして、

・「まず」コーヒー(ホイップクリーム別添)
・「とりあえずの一品」に北の逸品盛り合わせ
・「メイン」にビーフシチュー
・それと、ライス・スープ・サラダセット
・「おみやげ」にガーリックトースト

を注文。あいにく「北の逸品盛り合わせ」はスペアリブしか用意できないとのことで「スペアリブ単品」に変更。

 あと「ライス」も炊飯器の底のしか残っていないので、大きめのガーリックトーストをこの場で食べて残ったのを持ち帰ってはいかが、というおすすめがあり、スープ・サラダセット+ガーリックトーストにしました。

 ……よく考えたら、シチューを注文したんですから、パンがないと最後に困りますよね。ありがたいアドバイスでした。


IMGP0851.jpg で、コーヒーとスペアリブ、ガーリックトーストはすぐに出てきました。

 私の席から厨房が見えてしまいましたが、スペアリブはなんと真空パック。

 オーガニックと謳っているコーヒーも、どの家にもありそうなコーヒーメーカーで落としたものを、魔法瓶のポットでドン。後はセルフサービスで飲み放題です。……「とりあえず」の品だけは素早く提供するのを心がけている様子です。


 となりのテーブルで食後のコーヒーを飲んでいた方と30分ほど話が弾み、その後は持ち込んだ本を読みながら、だらだら、うだうだ、コーヒーを継ぎ足し継ぎ足し、ゆっくりゆっくり食べます。

 元々自分は食事が遅いほうで、勤めていた頃は昼休みに職場のグループで社員食堂へ行けば最後はいつも全員を待たせて口に詰め込んでごちそうさま→モグモグしながら下膳口の列、でしたし、父親には「早メシ早××(伏字)芸のうち」と何度聞かされたことか。


 そんな私にとって、こんな環境、極楽浄土以上の場所ですよ。


IMGP0855.jpg で、スペアリブがそろそろなくなりそうなところで、スープがやってきました。

 冷めない程度にそれなりに素早くいただきますが、猫舌なので、これもゆっくりゆっくり。

 ……肉やわらけー、と思ってましたが、店を出るときに「本日のスープ 牛すじときのこのビーフコンソメスープ」って、あれスジ肉だったの!?


IMGP0857.jpg で、注文して1時間後、メインのビーフシチューの到着です☆

 いままでの写真にも腕時計を入れて撮っておけばよかった……とはいえ、ブログ用にサイズを加工する前の元の写真データには撮影日時が記録されているので、自分が家のパソコンで見る分には困らないんですけれども。


 メインメニューにも、ローストやステーキ、ハンバーグなどいろいろあるなかでメニューを見ながら考えたことは…

・ただ焼くだけ等、素材の美味しさがそのまま出るものは東京「でも」金さえ払えば食べられる
・ハンバーグもミンチ肉にするなど一手間かけているけど、素材の味を活かす点は同様
・そのままでは食べられない肉をいかに美味しくするか、この店で「しか」味わえないものを…

というわけで、1700円のビーフシチューです。


 使っている肉も、他のメニューとは一線を画して「オーストラリア産」。

 北海道の農家レストランが地元産ではなくオーストラリア産肉を使っている時点で、こいつがどう化けるか味わってくれ! と言っているかのようです。


IMGP0863.jpg で、TVリポーターがシチューを食べて「肉のうまみが…」とか言っているのがバカジャネーノ? と思えるほど、とにかくこの店のビーフシチューは「そのままではとても食べられない部位を料理人の腕でおいしく食べられるようにしてある」見事な作品でしたよ!

 肉の繊維方向には箸で十分なほど簡単に裂ける一方、繊維を横に切ろうとナイフの歯を立てれば切れた頃にはグチャグチャになってしまう肉ですよ。

 最後は、パンでキレイに胃におさめてごちそうさま。

 ……お土産用のは残りませんでしたな。タカハシ君。


IMGP0856.jpg 食べ終えてからも、コーヒーポットのおかわり(一度コーヒーを頼めば無料)をもらい、16時ごろまでだらだらうだうだしてようやくお会計です。〆て3880円。


 16時半ごろ今晩の宿に着いて、「ついさっきミセスロビンソンでたらふく食べてきたので夕飯は遅い時間でいいです」と告げたら

「え、あの店もついにこんな時間まで(昼ごはんが)出てこなくなったんですか!?」

と、地元の人も驚くほどのスローペースぶりでしたとさ。
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美幸線延伸区間その後

IMGP0741.jpg 美幸線は、国鉄時代に営業していた「美」深〜仁宇布から先、計画されていた北見枝「幸」までの区間はほとんど完成して後はレールを敷くだけ、というところで「国鉄再建法」が成立・施行されて、未成線区間は日の目を見ないまま営業線区間の廃止とともに葬り去られました。

 人が住んでいる場所では撤去工事が進み、北見枝幸市街では「美幸線通り」という道路の名前と、「19xx-x」みたいな鉄道建造物特有の完成年月を示す銘盤が貼ってある謎のコンクリ壁に痕跡を残すのみです。


 志美宇丹の跨線橋も、自分が仁宇布にいた7年前に撤去工事をしていました。


IMGP0798.jpg で、有名だった歌登市街を少し外れたところの雪覆い群は、きょう通ってみたら道道の拡幅工事の餌食になって全部撤去されていました。あー。

 ……とはいえ、削った山肌から道路を守る土留壁は鉄道用のものを一部活用している様子で、うち捨てられるよりはこうして活用される=日々のメンテナンスが行われるほうが、見ているこちらにも幸せのような気がします。


 それにしても、今もなおあちこちに残る痕跡を見ると、本当に、後はレールを敷くだけだったんだなぁ、と思わされます。

 当時の美深町長が「赤字日本一とか二とか言う前に、一度全通させてから判断してほしい」と東京の銀座で美幸線の切符を売った(それで一時期、国鉄赤字線ランキングの4番目までに上がった)のも、現地を見るとなるほどなという気がしました。

 鉄建公団が歌登駅予定地に積み上げられていたレールと枕木を引き上げようとしたときも、歌登町役場がバリケードを作ってにらみ合いが何ヶ月も続いたとかどうとか。


 ……全通したところで、100円の収入を得るのに3000円以上のコストがかかる路線が一転して黒字化することはなかったと思いますが、いちおう、町長の頭の中には、枝幸港で獲れた魚を満載した鮮魚列車が美幸線を疾走する姿があったようです。。


 確かに、北見枝幸は札幌との直通バスが通じるなど、それなりに規模のある町ではあるんですよね。


 とはいえ、本当に成り立つなら第三セクターでもなんでも地元が引き受けたでしょう。

#国鉄再建法では、国鉄〜JRではなく第三セクターが引き受けると宣言すれば全額国費負担で未成線部分を完成させてくれる枠組みになってました
(「ほくほく線」や「智頭急行線」などがそれで、黒字経営しています)
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「もぬけの殻」の志美宇丹

IMGP0747.jpg 昨日話をした仁宇布の農場オーナーの方が、仁宇布が活気付いているのと対照的に

「志美宇丹なんてハコモノばっかりで『もぬけの殻』だぞ」

と言っていたのにびっくりしたんです。

 志美宇丹といえば、美幸線の延伸区間で駅もできる予定だった場所で、私が仁宇布で居候をしていた頃もそれなりに人が住んでいて小中学校や郵便局だってあったんですから。


 百聞は一見に如かず、とばかりに、天塩川温泉をチェックアウトしたら早速クルマを志美宇丹へ走らせました。


 すると……

 本当だよ! 建物はいっぱいあるけど、人が住んでいる気配のある家がないよ!!


IMGP0760.jpg 30分ほどぶらぶらしたなかで、クルマがあったのが小学校跡向かいの1軒だけ。
(でも、このページによると保育所の跡で、人家とは考えにくい)

 小学校だって、さすがに最近の建物ではないものの、仁宇布の(確か)木造校舎に比べれば立派な鉄筋建てなのが校門を柵で封鎖され、ひっそりと風化していくのを待つのみです。

IMGP0778.jpg 農村集落多目的共同利用施設「志林」なんていう、築年数の新しそうなものもあったんですけど、仁宇布と比べると、いかにハコモノよりも「内発的な」活動のほうが大事かよく分かります。

 地域で生徒数一ケタの小中学校に通わせるより町の小中学校でみんなと一緒に勉強させたい、と地域の親御さんが考えてしまったが最後、小中学校が廃止されれば、集落では非常に貴重な若手住民である「教員」が去り、あとは急坂を転げ落ちるように限界集落化するようです。

IMGP0761.jpg 特に、小学校では教員はクラスの数だけですが、中学校は科目の数だけ教員が赴任するの(が原則)で、限界集落すれすれの地域にとって最重要問題なのは、実は中学校を維持すること、最悪でも小学校は残ってもらう(それでも校長・教頭・クラス担任の3人は残る)なんです。


 「山村留学」も都会から子どもとその親御さんを呼び寄せるひとつのやり方ですが、あまりうまく行っているケースはないようです。

 仁宇布には、新築ではありませんが美幸線建設のための鉄筋建ての作業員宿舎がそのまま残っていて、「ホスターホーム」として子ども単独で山村留学に来ている子の宿舎に転用できたことなど、好条件もあったかもしれません。

 子の山村留学をきっかけに定住する方もいらっしゃるようですし。
author by よんなん
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