都市対抗野球の一側面

 「課長がお前のこと誉めてたよ」

 寮の中で顔を合わせた先輩の一言。

 先月末から今月はじめにかけて、連日東京ドームへ足を運んでいたなかに、勤務先の会社の試合も入っていたことを指して言っていたのだとか。


 学生時代、毎週末に神宮球場へ通って教授から苦言をもらったのを思い出すと、え、そんなことで誉められちゃっていいの? という気がするのですけれども。

 単に、個人的に好きで行っているだけなのですし。


 まぁ確かに、スタンドで見かけた同期といえば、会社に動員されて応援団の手伝いをして(させられて)いる面々しかいませんでしたから、珍しい存在なのかもしれません。


 先輩の話によれば、課長や部長の世代だと、都市対抗野球にかける想いは、私くらいの年次とはケタが違うようです。

 いまの勤務先は、私が小さいころに経営破綻した企業の再生過程でできた会社です。

 当時は親がそこの社員だというだけで、学校でばかにされたという人の話も聞きます。

 そんななか野球部が都市対抗に出場したときは、「ようやく他の企業と並ぶところまできたのか」という感慨もひとしおだったのだとかどうとか。


 ……勤務先と沿革をほぼ同じくする会社の中には、都市対抗に出場する日を待たずに野球部を休部した会社もありますし。


 そういう話を聞けば、なるほど、そういうことか、と思うのです。

 このご時世、直接的な利益を生み出すことがなさそうな活動に対して、いろいろな考え方があると思います。

 休みの日まで会社の名前がつく活動に顔を出すなんて、だいたいそんな社員を誉める管理職も改革の波とやらに乗っていないのでは、という考え方もあっていいはずです。

 でもまぁ、個人的にはこういうのは嫌いではありませんし、誉められたと聞いて悪い気はしなかったりもするのです。
author by よんなん
- | trackbacks (0)
  1. 無料アクセス解析