循環式はニセ温泉か

 このごろ、「かけ流し」式の温泉をありがたがる風潮があります。


 先月末、北海道にある一軒宿「塩狩温泉」が廃業しました。


 一軒宿ではあったものの、源泉が6℃しかなかったうえ、湯量そのものが少なく循環式にせざるを得なかったところが、温泉としての魅力を減らしていたようです。

 ただ、泉質は道内でも珍しい酸性泉だそうで、そこら辺の「何千メートルも掘れば出る」温泉とはわけが違うのだとか。

 もともと、源泉が湧いていた場所の水を飲んでいた牛の生育がよかったことから発見された温泉ですし。
 長期滞在していた人には、実際に症状の改善がみられた人もいたという話です。


IMGP1639.jpg ここはユースホステルを併設しており、私も年に1度は訪れていました。


 厳密には休業で、オーナーは温泉を営業してくれる売却先を探しているとのことですが、建物は老朽化が著しく建て替えが必要なことを考えると、再開はそう簡単なことではないでしょう。


 そういう話を聞いてしまうと、「かけ流し」だけが本当の温泉というのが果たして正しいのか、という気分にさせられます。

 確かに、循環式はその過程で塩素を加える必要があることから、泉質が変化してしまうという指摘もあります。
 源泉の湯量が豊富なのに循環式だったり、一部の温浴施設でみられるようなタンクローリーで運んできた温泉水を循環させて繰り返し使用したり、何千メートルも掘って無理やり湧出させたわずかな温泉を循環させて大々的に温泉温泉とPRするようなのには、私も疑問を感じます。


 しかし、私は化学的なことがあまり分かりませんけれども、塩狩では効果があった人もいたとのことですから、「循環式=ニセ温泉」と目くじらを立てて一律に否定すべきものでもないのかなぁ、と思うのです。
author by よんなん
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