【エネルギー】 短期の政策、中期の政策、長期の政策

 ニュースを見聞きしていて、「我が国の原子力発電所がすべて止まる日が来る」という話題がない日はないくらいです。

 個人的な考えとしては、(ほぼ友人の受け売りですが)中期的には現在の核分裂炉によるエネルギーには頼らざるを得ないものの、しかし長期的には核融合炉が実用化でき次第、核分裂炉は捨てて移行するべきだと思っています。


 とはいえ、じゃぁ一日でも早く原子力発電所を再稼動させないと! 地元では雇用が失われる! 路頭に迷う人が出る! 産業が国内からどんどん逃げ出してゆく!! と書きたてる新聞には、「次にあれだけの事故が起きたときどうするの?」という視点が抜けていると思います。

 まさに、事故が起こるその日まで「そもそも事故が起こる発電所なんか反対反対!」「いやいや事故なんか決して起きません、起こさせません」と(不毛な)やり取りをしてきた末の出来事だったのをもう忘れたのか、という気がします。


 当然、使われないに越したことはありませんが、最低でも

事故発生
 ↓
何のデータに基づいてどのエリアの人がどこへ避難するのか

くらいの段取りは用意しておかなければ、もし明日、事故が起きたとき再び行き当たりばったりの対応をすることになるのは目に見えています。

 また同心円状に逃げるんですか? 今回の事故での避難誘導が決して適切ではなかったことは明らかです。

 そのことに関してすら、まだ今回の事故の検証ができてないじゃないですか。


 現在の新潟県知事は経済産業省の官僚出身、と、経歴だけを見れば原子力発電に協力的であるようにも見えますが、県内の原子力発電所の再稼動に首を縦に振らないのは冷静な判断だと思います。


 本来であれば、総理大臣なり経済産業大臣なりが

・短期的(数年間)には節電をお願いするしかありません(期限を設けるから協力して下さい)
・中期的(50年間くらい)には核分裂炉をエネルギー源として頼らざるを得ません
  →世界的にもそうなので独・仏・韓のように我が国もシステムを海外へ売り込みます
・長期的(50年後くらいが目処)には核分裂炉を捨てて核融合炉へ

と、方針を示さなきゃいけないはずです。


 我が国の地形を考慮すると(=仮に過酷事故が起こり続ければ住む場所がなくなってしまう)直接的には核分裂炉へエネルギーを依存でき得なかったとしても、ドイツのように「国内では原子力発電所をやめるが海外へは売り込む」(相手国から代わりのエネルギー源を融通してもらうなりの取引もできる……かもしれない)、という選択肢も取りうるでしょう。


 ……が、宮城県や岩手県のがれき処理や、青森の雪を沖縄に運んで子どもに楽しんでもらうイベントが「放射能」の一言でぽしゃるような、我が国の現状では当分は無理だろうな。。。


 たぶん、ずるずると電力不足+エネルギー料金の高騰が続いて、原発再稼動の強硬論が増してきて、それで「なし崩し的に」再稼動を認める自治体が出てきて、事故もそんなに起こるものじゃないし、海外にもシステムとして売れるからナァナァに、ってなるんじゃないでしょうか。

 困るのは、確固とした先が見えない製造業を中心とした我が国の産業界でしょうね。……当然、我が国に進出してお金を落としてくれる海外企業なんかまれでしょう。
author by よんなん
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