「案ずるより東北が易し」

DSC01912.jpg 去年の秋ごろにJR東日本がキャッチコピーにしていた言葉です。

 なぜか早々に引っ込められ、「行くぜ、東北。」キャンペーンに代わりましたが。

 来てみれば、福島県といっても浅草から東武線の直通電車があるような場所で、浅草から午前中に出ている快速電車に乗れば会津高原尾瀬口駅まで3時間少々です。……電車賃は東武鉄道+野岩鉄道で2540円。

 鬼怒川温泉までの特急に乗れば(土曜休日料金1400円)3時間足らずです。


 帰りは特急料金を払わずに延々と東武動物公園まで各駅に停まる区間快速を使った(快速の設定は朝しかない)ので、北千住で降りる頃にはいいかげんに疲れましたが、その気になればいつでもひょいと来れそうな場所でした。

 自分は何も用意してなくて東武線区間は普通運賃(1500円)を支払いましたが、同行者は東武の株主優待券(全線1回有効の乗車券)をチケットショップで730円で買ったそうで、それなら金銭的にもっと気軽に来れることになります。
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檜枝岐温泉三日目

DSC01880.jpg 「湯治修行」三日目です。

 大半のメンバーは9:05発のバスで帰って行きましたが、特に急いで帰ってもやることがあるわけじゃありませんし、12:50発のバスまで檜枝岐で過ごすことにします。

 10時ごろに旅館をあとにして、昨日と同じく「燧(ひうち)の湯」へ。……外気温は氷点下なので、露天風呂は何時間いてものぼせることはなく、飽きません。

 それにしても、年末・正月休みの直後とはいえ、3連休だというのにほとんどの時間、独り占めでした。

 カレンダーとは関係のない仕事が長く、平日休みのメリットを享受していた身には、カレンダー通りの休みは旅行好きにとって負け組と思ってましたが、どこへ行くかによるのでしょうか。
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檜枝岐温泉二日目

DSC01877.jpg 「湯治修行」二日目です。

 宿の大浴場が9時から掃除で入れないので、フロントで300円の券を買って共同浴場「燧(ひうち)の湯」へ。

 ……風呂は宿よりこっちのがいい!!!(ぇ


DSC01903.jpg 昼食は、檜枝岐で冬に営業している店が2軒しかなくて、1軒は遠いので事実上、残り1軒しかありません。

 そば屋「開山」にて昼食。

 ここも十割そばで、昨晩の宿の夕飯にも十割そばが出て、十割そばって決しておいしいわけじゃないのになんでだろうなー、と思ってたら、檜枝岐は土地柄つなぎになるもの(小麦粉など)が採れないので、結果的に十割そば「裁ちそば」が名物になってしまった様子。

 「裁つ」って、「切る」とどう違うの?? と思ってましたが、その辺のそばは生地を伸ばしたら包丁の長さに折りたたんでまとめて切るところ、檜枝岐のそばは折りたたむと(つなぎが入っていないから)ちぎれてしまうので、広げたまま包丁をツーッと動かして切る切り方を「裁つ」と呼ぶようです。


 さて、温泉に来たというのに、宿に帰ってやることは、パソコンを広げて未消化のアニメを消化することです。(何


DSC01888.jpg 夕方になって、また300円の券を買ってもう一軒の共同浴場「駒の湯」へ。(写真の人は同行者)

 こちらは「燧の湯」に比べるとまぁまぁでした。……スキー帰りの人が来てて、脱衣所が汗臭かったのには閉口。。orz

 夕飯を済ませて、また宿のお風呂にもう一回入りました。……が、都合3回で、湯治「修行」のわりには、お風呂に入っていた時間の割合は少なかったかもしれないです。
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檜枝岐温泉初日

DSC01892.jpg 稲門鉄研(早大鉄研のOBOG会)の代が近い面々での毎年恒例「湯治修行」(なぜか修行と呼んでいる)初日です。

 福島県・檜枝岐村の宿に着いたのは17時ごろで、しばしまったりして19時から夕飯です。

 何が出たかは「ごはん日記」にいずれまとめるとして、これでもかと大量にソバとキノコを食べたあと、最後のごはんは「うさぎめし」でした。

 ……ウサギとはもちろんあのウサギの肉です。


 これはめずらしいなぁと思って食べていたら、


ガ リ ッ


何だろうと思って口から出してみると、BB弾くらいの黒い玉。


 これはもしや、生物の図鑑か何かで読んだことがあるウサギの2度目のウンコかっ!

 と、隣でメシを食っている同期に聞いてみると、「鉄砲の弾じゃないか?」


 うむ! 言われてみれば! めずらしいものを引き当てたかも!!


 で、食後に宿の人に聞いたら「すごいのが当たりましたねー、散弾です。小さいのでどうしても全部取りきれないんですよ」だとか。

 先日の年末ジャンボもこの調子で当たってくれれば良かったのに……。
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会津へ向かっています

DSC01833.jpg 毎年恒例、稲門鉄研(早大鉄研のOBOG会)の代が近い面々で行っている2泊3日の温泉旅行「湯治修行」(なぜか修行と呼んでいる)が福島県の檜枝岐温泉で開かれます。
(早大鉄研関係の合宿は基本的に現地集合で行き帰りは自由です)

 檜枝岐村は野岩鉄道・会津鉄道の会津高原尾瀬口駅からバスで75分。……東京からは東武・野岩線で行ったほうが早いんですが、行きも帰りも同じではつまらないので、郡山・会津若松まわりの会津鉄道で向かっています。

 けさ起きて、どうせなら新潟・新津周りの磐越西線で会津若松へ行こうかと思いついたんですが、東京6:08発の朝一番の新幹線に乗らなければいけないのでやめました。(^^;)

DSC01838.jpg 郡山駅に雪はありませんでしたが、磐越西線の電車の床下には雪!

 発車して、磐梯熱海、猪苗代、と、だんだんあたりが雪景色になってきます。(でも天気は晴れ)

 会津若松から会津鉄道「AIZUマウントエクスプレス」に乗り継ぎました。

DSC01839.jpg 3連休初日の観光列車、しかもきょうは喜多方〜会津若松延長運転だから混んでいるかなと思いきや、すんなり座れてむしろ拍子抜けです。

 「AIZUマウントエクスプレス」では車内で無線LANが使えるのでさっそく車掌さんに申告してパスワードを教えてもらい、ネット接続してこのブログを書いています。

DSC01846.jpg 会津若松でもまだ晴れでしたが、湯野上温泉あたりから雪がちらつき、会津下郷、ふるさと公園あたりまで来ると、すっかり天気も「雪」。だんだん期待通りになってきましたよ。

 ただいま会津田島を発車して、次は会津高原尾瀬口駅です。

 ……会津田島では隣のホームに「浅草」という行き先を掲げた区間快速電車が停まっているのに衝撃。いま乗っているの「AIZUマウントエクスプレス」も鬼怒川温泉行きで、新宿でも見ることができる電車の行き先です。。

 そういえば、国鉄〜JR会津線として廃止が決まったのちに、野岩鉄道が会津滝ノ原(現・会津高原尾瀬口)まで開業して東武線とつながってから乗客が増え始めたけどそのままJR線としては廃止になって第三セクター化したという話を聞いたことが…。


 会津高原尾瀬口駅についたら、冬季は檜枝岐が終点になる(夏は尾瀬の鳩待峠まで行く)バスに乗り継いで、檜枝岐温泉へ向かいます。
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その気になれば

DSC00718.jpg 一昨年の11月、泊まり勤務から日勤職に異動して失ったものは「泊まり勤務明け」と「平日休み」でした。

 それまでのおよそ4年間「明け」と「平日休み」がある勤務に生活が慣れてしまい、カレンダー通りの日勤職では、仕事が終われば外はもう真っ暗だわ、週末はもとより連休に至ってはどこへ行っても混んでいるわ、パック旅行は連休料金を取られるわ、すっかり調子が狂ってしまいました。

 役所も銀行も行けませんし、昼しか営業していない店へ行くには週末を当てるしかありません。(泊まり勤務の頃は勤務が終わってからでも行けた)

 泊まり勤務の頃、何かの拍子に泊まり勤務明け+2〜3連休が入ったりすると、カレンダーとは無関係の休みなので、全国どこへ行ってもすいていましたし、有給休暇をつけ足して海外へ行けば航空料金は安いし、いいことばっかりだったんですが。

 とりあえず、独身でいるうちはそうです。


 今回、「青春18きっぷ」3日分を使った旅行でしたが、おとといの岡山から引き返すと、同じく大阪23:50発の「青春中央エコドリーム24号」をつかまえることができます。(昨日と同じく大阪駅で12分しか待ち時間がないんですが)

 夜行バスを活用して京都・大阪起点なら、普通列車を使った旅行でも2日あれば四国を軽く一周できるわけです。案外遠くへ行けるものだなぁと思いました。


 泊まり勤務だった4年間、土日の用事に有給休暇を使うことがあった(←ここが世間とは違う点)ように、逆にこれまで所定の休みで出かけていたところを、たとえば水・木に有給休暇を取得して、火曜の夜行バスで出発すれば、丸々2日間を楽しんだ上で金曜の朝には新宿の職場へ出勤できるのです。

 金曜日の仕事は夜行バス明けでつらいかもしれませんが、すぐ土曜と日曜が来ます。

#意外にも今回の旅行で疲れが出たのは帰宅当日ではなく2〜3日後だった


 今回の旅行は、復職後の、個人的なリフレッシュ方法を見いだすきっかけになったような気がします。


 それはそうと、「青春中央エコドリーム24号」は途中の谷保駅(南武線)は30分ほど早着していたものの、新宿駅には若干遅れて9時ごろに着きました。

 新宿の職場は4月からフレックスタイム制になったので10時までに出勤すればよく、もしこのまま出勤するのでも時間的な余裕はあります。……心配なら谷保駅などで降りて電車で新宿へ向かう方法もあります。


 今日のところは休職中の身なので、新宿御苑前のジョナサンで朝ごはんをゆっくり食べながら、地下鉄の時差回数券が使える10時になるのを待って帰りました。
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三次→広島→大阪

DSC00696.jpg 芸備線の三次からは本数も増えて広島に17:28着です。……今回の旅行で唯一のキハ47でした。キハ40系統は本当に数が減ったなと思います。

 さて、本当は広島17:23発の上り快速電車に乗れれば行程にゆとりを持たせられたのですが、芸備線の東城〜備後落合が1日3本しかないので、この区間に合わせて行程を組まざるを得ず、広島から乗り継ぐ電車は1本後の17:52発です。

 大阪駅23:50発の夜行バスに乗るのに、広島17:23発に乗れば大阪に22:58に着けて1時間弱の余裕があるのですが、17:52の電車から乗り継いでいくと大阪着23:38で12分しかありません。

 夜行バスは西日本ジェイアールバスの「青春中央エコドリーム24号」で、おなじJRグループとはいえ、連絡運輸をしていない(=乗り継ぎは自己責任)ところで12分乗り継ぎでは、電車が少しでも遅れれば置いていかれることになります。

 芸備線が着く5分前に出てしまう快速電車……この5分、、、5分が憎い!! とはいえ、電車が定時で走りさえすれば大阪駅での12分乗り継ぎは余裕です。

 鉄道の定時性をそこまであてにしてはいけないのは分かっているものの、、ここで芸備線に乗るのをあきらめる、備後落合へ行くのをあきらめる、という選択肢は、ありませんでした。


DSC00706.jpg 糸崎で乗り継いだ普通列車は115系の6両編成。3両編成が2つつながっています。

 JR西日本は2011年5月1日から先頭車どうしの連結部でも前部標識灯を点灯させています。……中間車ならこの部分に転落防止幌があるのですが、2010年12月にこの部分から転落した乗客の死亡事故を受けての措置とのこと。

 すれ違う下り電車でも、中間部が光っているのは結構目立ちます。

 岡山駅で見た限りでは山陽本線の列車だけでしたが、「鉄道ジャーナル」2011年7月号によればJR西日本管内全域が対象で、キハ120とキハ40系のみが電気回路の都合で例外とか。

DSC00707.jpg ……誌面では触れられていないものの、どうやらJR四国へ直通する瀬戸大橋線「マリンライナー」も例外のようです。

 ここで「前部標識」が列車中間で光っているのはいかがなものか……という杓子定規なツッコミは野暮というものでしょう。

#鉄道のヘッドライトは列車の先頭であることを示す「標識」で、国土交通省令で定められた「鉄道信号」の一つ。

 さて、岡山・瀬戸、と電車を乗り継ぎ、あとは姫路で新快速電車に乗り継ぐだけです。

 ところが瀬戸から乗った姫路ゆき電車でウトウトしていたら、姫路到着前の車内アナウンスで

「この電車は途中、前を走る電車が遅れたため、姫路駅に4分遅れで到着します。なお、新快速電車には『フセツ』となります」

フセツ……「不接続」ですとっ!? 大阪駅で乗り継ぎ時間が12分しかないのに、1本後の電車では当然間に合わないではないか!

 遅れ始めた段階で新快速への乗り継ぎ客がいることを車掌さんに申告していれば無線で連絡してくれたはずで、居眠りをしていた自分が情けない!


 ……と絶望した思いで電車が姫路駅ホームに入ると、向かい側に新快速電車がまだ停まっているじゃないですか! これは勝つる!!

 姫路ゆきの車掌と車掌見習が「フセツ」(=不接続)とアナウンスしたということは、おそらく、姫路駅の判断で発車を待たせたに違いないです。(推測)


 姫路駅を3分遅れで新快速電車が発車します。……いやはやどうにかこのまま順調に走ってくれれば間に合いそうだ、と思ったら、車内アナウンスが

「本日は16時ごろ発生した甲子園口駅での人身事故の影響により……」

ぐはぁぁ……発生から6時間以上経っているとはいえ大丈夫か、、、と思っていたところへ車掌さんが車内巡回に来たので聞いてみると、ほぼ正常に戻っているが、先行する普通電車が遅れていて西明石駅場面で8分遅れの見込みとの返事。

 12分しか乗り継ぎ時間がないところへ8分遅れ!

 逆に言えば、どうせ増延が見込まれるから姫路駅は新快速電車の発車を3分待たせたのですね。確かに頭を押さえられているかのように電車のスピードが出ません。


 実はかくかくしかじか……と恐る恐る事情を説明すると、車掌さんは「どちらから来られましたか」と聞かれ「広島から…」と返事をすると「もう少し早く来ていただきたかったです……」と困った顔をしつつ「とりあえず、当たってみます。お客さまのほうでもバス会社に連絡してみてください」と連絡を引き受けてくださいました。

 広島じゃなくて、備後落合からと言っておけばよかったかな……。

 時刻表記載の西日本ジェイアールバスの電話番号も、ジェイアールバス関東の電話番号も、22時を過ぎて(電車内ではあるもののこっそり)電話をかけてもこれは予約受付の番号で、「営業時間内におかけ直しください」のテープが流れるだけです。orz

 もう一度車掌さんが来られ、ひとまず指令→大阪駅→JRバスのルートで連絡を依頼したけど、返事はまだない旨を知らせてくれました。

 ジェイアールバスの連絡先は、車掌さんがお持ちの小型時刻表記載も同じ電話番号でしたから、もう打つ手はありません。

 JR神戸線で人身事故があったとなれば指令室はてんやわんやでしょうし、大阪駅も列車遅れの対応で忙しいに違いないです。


 大阪まであと2駅、という芦屋を出て今度はこちらから車掌さんのところへ足を運び、その後どうか聞いてみたものの、まだ返事は来ない由。

 電車は、西明石を出たときのまま8分遅れで走っており、あとは大阪駅で走るだけです。車掌さんも「(バスの)のりばは(電車の進行方向に対して)左側ですから」とアドバイスしてくれました。

 大阪駅に着いてドアが開いたのは、23時45分55秒。乗っていた4号車が中央口へ降りる階段の目の前、ということも幸いして、一目散に走ってみれば、23:50発「青春中央エコドリーム24号」は改札中でした。間に合った!

 列の後ろに並び、何事もなかったかのように運転係の方に乗車票を出して改札を済ませ、荷物を預けてバスに乗り込むと、続々と走ってくる人がいます。

 同じような境遇の人がいたようです。


 さて、無事に乗れたはよいものの、バスがなかなか発車しません。

 そのうちバスの外で西日本ジェイアールバスのスタッフの人たちが

「新快速のお客さんまだかいなー」
「46分ごろ着くって言うから、5分なら待つ、それ以上は知らん、って言ってあるんやけどな」

としゃべっているのが耳に入りました。

 連 絡 が 届 い て い た の か !


 一旦座った席を立って、外にいたスタッフの方に、すみませんそれ私です、ありがとうございました、と申告すると、おおそうでしたかよかったよかった、と相成ってバスは発車です。

 いやはや……今回はどうにか間に合いましたけど、次回こういうことをやるときは「置いていかれたらどうする」ということも考えておかなきゃ、、、、じゃなくて、ちゃんと余裕を持った行程にするのが先ですよ。>自分
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電車の中にゴキブリキャップ

 その昔、電車の中にゴキブリホイホイが置いてある路線があったそうであります。

 1980年代の東急目蒲線がそうであった、と、1991年に目蒲線沿線の中学・高校一貫校に入学した頃に鉄道研究部の先輩方から聞かされました。

 まぁ、そんなのは東急に緑色の電車が走っていて、社員の制服もシャツの裾をズボンから出すのが正式(←本当に! 夏は涼しそうだった)という時代の、過去の話だと思っていたんです。

DSC00705.jpg ところが……


 わたくし、きょうJR西日本の115系電車の中に、ゴキブリキャップが仕掛けられているのを見てしまったのです。(ガーン)


 21世紀になっても、出るところには出るのですね……。

 自分も他地域の115系電車でゴキブリを見たことがまったくないといえばウソですが、家で出るようなおぞましいのではなく、学校やオフィスなどでよく出る米粒みたいなミニゴキブリです。

#なんという種類かgoogle先生に聞いてみたいけど、たぶん写真を見なきゃいけないと思うので調べない
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最低限の安全輸送

DSC00649.jpg 新見から芸備線に入り、備後落合を経て、三次・広島を目指します。

 ローカル線を多く抱えるJR西日本に見られるのが「最低限の安全輸送」です。……鉄道の本来の特性である「高速大量輸送機関」としての役割を事実上返上している姿です。

 JR本州三社は政府保有の株式がすべて売却された2002年に「完全民営化」され、政府が株主として経営に介入することはなくなりました。……が、JR会社法附則では引き続き「新会社がその事業を営むに際し当分の間配慮すべき事項に関する指針」(平成13年国土交通省告示第1622号)のもと、国土交通大臣により

輸送需要の動向その他の新たな事情の変化を踏まえた現に営業している路線の適切な維持及び駅その他の鉄道施設の整備に当たっての利用者の利便の確保に関する事項

について「指導及び助言」そして「勧告及び命令」ができることになっています。

……つまり、JR本州3社がローカル線を廃止するには、他の鉄道会社とは違ったそれなりのハードルがあるわけです。

 そして現在、JR西日本の各ローカル線で見られるのが、「最低限の安全輸送」です。

 もはや高速大量輸送機関としての役割を果たしえない区間でも廃止はせず、その一方で新たな設備投資もやめて、事故だけは起こさないように、明日にも撤退しそうな地方私鉄並みかそれ以上に突き詰めた体制で運行を細々と続けているものです。

 手元に2001年5月の時刻表があるので、芸備線の「359D」の時刻を2011年9月の時刻表と比べてみると、

・2001年5月 備後落合12:59発→三次14:03着(所要1時間04分)
・2011年9月 備後落合12:39発→三次13:58着(所要1時間19分)

と、45kmあまりの区間を結ぶのに10年間で15分スピードダウンしています。……鉄道の歴史はスピードアップの歴史と思ったら大間違いです。
(45kmというと、京都〜大阪、東京〜大船・八王子くらいの距離)


DSC00650.jpg 沿線には「15」「20」「25」「30」といった速度制限標識があちこちにボンボン建てられて、列車はノロノロノロノロ走ります。

 山あいの区間なので、落石や路盤流失を運転士が見つけてからでも列車が止まれるスピードでしか走らせないのでしょう。おそらく。

 ……従来であれば、線路のメンテナンス体制だったり落石や土砂崩れを検知するセンサーの設置、さもなくば斜面の補強工事などでカバーしていた部分だと思うんです。

 2枚目の写真では字が潰れていますが、「20」の下に「5」と書いてあって、要はほんの5mの区間が20km/h制限だというわけです。(5m先に解除標も建っている)

 ここまでくると、15km/h制限と、20km/h制限と、25km/h制限に何の違いがあるのかとすら思わされます。

 おまけに部外者にとって不思議なのが、単線なのに上りと下りで速度制限箇所が違うことです。同じ単線の上でも列車の向きが違うと危険度も違うのかどうか。

DSC00682.jpg もう一つよく分からないのが、黒板に黄色い「S」の標識と、青い板に白い字の「雨15」の標識。

 1枚目と2枚目の写真のように速度制限標識の下に「雨**」(**は数字)だけがついている箇所がほとんどですが、「S」だけの箇所もあれば、写真のように「S」と「雨15」が併設されている箇所もあります。

 この「雨**」というのは、運転士が降雨を認めたらその時点で適用なんでしょうか? それとも、一定の降雨量があったら規制がかかるのでしょうか?

 それ以前に、3枚目の写真はもともと15km/h制限なのに「雨15」もついているのです。……たぶん解除標の場所が違うのでしょうけれども。


DSC00685.jpg 雨が降ったらここからどこまで時速何キロ以下で走るのが正解なのか、クイズにしたくなるのがこの場所。

 「45」「S」「雨15」とあり、写真では小さくなっちゃってますがカーブ手前に、「45」の解除標識と「●」の標識があります。

 45km/h制限がカーブ制限ではなく直線に設けられているというのがなんとも象徴的でありますけれども。

DSC00687.jpg で、その先に、やけに細長くて青い制限速度解除標識があるのですよ。……これってたぶん「雨15」に対する解除標識だと思うんですよね。

 じゃぁ「S」と「●」の意味って何なのかなぁ、と。

 「S」や「●」は他のJR線でも見かけるのでおそらく国鉄時代からある標識で、「雨**」はJR西日本になってからついた標識か、と推察はしてみるものの、それだと「S」と「雨**」が両方ついている場合の説明がつかないです。

DSC00679.jpg これはたぶん速度制限と関係ないんだと思うんですが、ところどころに建っている「曲」という字が書いてある黄色い看板も、これは何を意味するのかなぁ……と気になりました。

 新見から芸備線の列車に乗ったら、備中神代までの伯備線区間で最初に見かけたので、てっきり振り子電車に関係する標識かと思ったのですが、芸備線に入ってからも見ることができました。むむむ。


 こんなこと、部外者の自分が気にする必要なんかまったくなくて、プロの皆さんに任せて安心して乗ってればいいのに、遠くまで来て何をやっているのだろうか自分は……。
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備後落合駅

DSC00665.jpg 備後落合駅は、越後川口駅と並んで私が好きな駅の一つです。

 何がどう好きなのか、と言われても「なんとなく印象に残った乗り継ぎ駅だから」としか答えが見つからないのですが、曲がりなりにも木次線と芸備線のターミナル駅なのに駅周辺に何もなさすぎる、ひなびている、というのは大きな特徴だと思います。

 いまや木次線も芸備線もローカル線になって、この駅から木次方面と新見方面へは1日3本しか列車がありません。

 大学生の頃までは急行「ちどり」が広島から備後落合まで走っていましたし、私が初めて降りた高校生の頃は有人駅で、さらに昔はホームに「おでんうどん」が名物のうどん屋も営業していた(と本で読んだことがある)のですが。

#急行「ちどり」は松江城の別名「千鳥城」が列車名の由来で、1990年までは木次線を経由して松江・米子まで走っていた


DSC00655.jpg 駅前の坂を下って橋を渡ると、簡易郵便局がまだ営業していました。

 ……とっくに廃局になったもんだと思い込んでいました。ごめんなさい。前回来たのが土曜だか日曜日だったのでしょうか。

 今回来た14時ごろは、三次方面・新見方面・木次方面の列車が着いて、備後落合駅が一番賑わう時間帯のはずなのに、どうやら自分以外に郵便局へ誰かが来た様子が見受けられません。

 鉄道マニアもだいぶ裾野が広がって「旅行貯金」の類を楽しむ人の割合も低くなったのでしょうか。……確かに、週末を中心に鉄道旅行を楽しむ人には、平日昼しか営業していない郵便局の貯金窓口は無縁な存在に違いないです。


DSC00663.jpg ホームの柱には、こんな掲示と押しボタンが残っていましたよ。

 「通票よいか」「信号よいか」「旅客よいか」でボタンを押す、ということは……出発指示合図器だ!

 うおおお! こんな駅(失礼)にこんな設備があったのか!

 現在でも津軽線三厩駅や山田線の一部の駅で、ローカル線なのにわざわざ駅長がホームへ出てきて車掌へ出発指示合図を出す体制が残っている例は見かけますが、合図器なんて設備はなくて旗や合図灯が使われます。

 備後落合駅は無人駅なのはもちろん、発着する列車もワンマン列車がほとんどで(実は木次鉄道部には車掌が配置されている)、もはや使われることはないでしょう。
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