工務店へ差し入れする派の憂鬱

 昨今、大工さんや植木職人さんなどにお茶などを出さない施主も多いようですが、個人的には、ちょこっとした差し入れで気分を悪くする人はいないだろう、という考えで、「差し入れする」派です。

#もっとも、お茶が出なかったからといって仕事のできばえが悪くなる業者は失格ですが

 お茶でも持って現場へ顔を出し、休憩がてら職人さんとコミュニケーションを取れば、お互いの信頼も深まろうというものです。


 去年のリフォームは、月〜金は自分が仕事をしながらの工事で、唯一顔を出せた土曜日には飲み物を買って現場へ足を運びました。

 住み始める前のリフォーム工事で、現場が広く、昼食や3時の休憩は新しく床下地を敷いたばかりで広々としたLDKでとっていたので、自分も弁当を買ってそこに混ざってコミュニケーションをとったものです。


 で、今回の工事にあたっても、麦茶をたくさん煮出して冷蔵庫に冷やしておき、職人さんは何人来るだろうかとコップも数を買い揃えて、氷も冷凍庫にどっさり作りました。

 ……が、現場が北側洋室しかなく、LDK・和室には自分が住みながらの工事なので、実際に工事が始まってみると現場は資材と機材で足の踏み場もありません。

 お昼も、3時の休憩も、職人さん2人は外へ行ってしまいます。食後の休みも含めて外で済ませるようで、12時に出て行くと、13時きっかりに戻ってきて作業再開です。


 リクリート系の「ホームプロ」というサイトを通じて依頼したので、食事や休憩時のお茶出しなどで施主の手間を煩わせない“いまどきの工務店”なのかもしれません。


 それならせめて、冷たいペットボトルでも置いておいて、適当なときに飲んでくださいね〜、とやりたいものの、この時期に冷たいペットボトルなど置いておけば、あっという間に水滴で周囲が汚れてしまいます。

 飲み物を置けそうな場所も、塗装前の木の窓枠とか、積んであるベニヤや断熱材など、濡れては困るに違いない場所しかないんですよ。

 なにより、できれば冷たいものを飲んでもらいたいのに、室内に出しておいたらあっという間にぬるくなってしまいます。


 かといって、冷たいのが冷蔵庫に用意してありますから言ってくださいね〜、では、「飲み物ください」と施主に言う、という時点でハードルになってしまいます。


 付け加えて、去年のリフォーム(6月)はわりと過ごしやすい時期だった一方、今回は熱中症の心配があります。

 職人さんたちは作業中にちっとも水分を取らないので、そこへただのお茶を出しては却って脱水を招いてしまい、この季節にそれをやっては非常に危険です。

#麦茶を作ったのは、食事などで何か塩気のあるものといっしょに飲む前提

 最適なのはスポーツドリンクですが、砂糖の入った飲み物を好まない人もいます。


 ……と、まぁ、これといった妙案も思いつかず、特に飲み物をお出しできずに日にちだけが過ぎていたところ、きょう、職人さんがポカリスエットを持ってきてたんです。

 それをふとツイートしちゃったら(←それがいけなかったのかもしれない)、「ついっぷる」の「@返信」欄(TLではない)に高校の同級生からこんなメッセージが。

暑い中来ている工務店の方に差し入れとかしないんか? RT @yon_nan: 引きこもり部屋の室温はすでに31℃に達している……金曜まで飲み物を持って来ていなかった職人さんも、さすがに今日はスポーツドリンクを持って来ている。

 「暑い中来ている」工務店の方に「差し入れとかしないんか?」 って、まるで自分が職人さんの労苦なんかまったく気遣わない人間であるかのような言われようで、まったくもって心外だ!

 そりゃ、暑い中汗して自分の家を改修してくれてる職人さんに、差し入れくらいしたいよ!

 しかし、実際問題として、事前打ち合わせの際に「工務店の皆さんに」と菓子折りをお渡ししたのと、あとは現場に扇風機を置いただけで、それ以外に何も差し入れできてないのですから、「できない理由」は所詮言い訳であります。


 そうか、、自分は気配りが足らない人間なんだ、、、確かに会社でも散々騒ぎを起こしてきたし、社会に復帰してもいずれまた逆戻りだ、、、他人を傷つけるばっかりで社会人失格だ、、、と昨晩はちっともよく眠れませんでした。
(眠れたけど疲れが取れた感じがしなかった)


IMGP3553.jpg 相手を思いやる気持ちが足りないから「できない」のだ、ともう一度よく考えて、きょうから写真のようにして飲み物をお出しすることにしました。
(100円ショップの保冷バッグに、お茶・アクエリアス・缶コーヒー・栄養ドリンク・塩飴・保冷材)

 ほら、やっぱり「できる」ことを「やらない」でいただけじゃないか。


 ……とはいえ、そんな返信一つ目に入っただけで大きく反応してしまうようでは、「いまの高橋さんはそういうメディアに触れてよい段階ではありません」となってしまいそうなので、そもそも視界に入らないようにtwitterの機能を一つ覚えました。

 耳の痛いことから目をそらすのか、30を過ぎてそういうことをわざわざ忠告してくれる人は貴重だぞ、という気もしなくはありませんが、やはり、いまはそういうことを正常に処理できる段階ではないのです。
author by よんなん
- | trackbacks (0)

そろいも揃って危険思想

 少し前の話ですが、経済産業大臣が九州の原発立地に赴いて町長から運転再開の了承を取り付けた、という一件がありました。

 短期的な「脱原発」の考え方には与しない自分ですが、「何をもって安全を担保するのか」が伝わってこないまま町長が了承したのには、首を傾げました。

 科学的な根拠なんか何もなくて、実は「経済産業大臣が『安全』と言ったから」という一点しかよりどころがなかったですよね。


 これには県知事が総理大臣にも経済産業大臣と同じ説明を……つまり踏み絵を踏んでみろと要求したのも、むべなるかなといった気がします。

 総理が踏み絵を拒否したうえ「ストレステスト」なんて薮蛇まがいのものまで出してしまい、経済産業大臣がハシゴを外されたも何も、「大臣閣下が安全と言ったら(科学的な根拠はさておき)とにかく安全」そんな理屈が本当に通用していたら、どこの独裁国家かと思うと恐ろしい話です。


 政権与党がそんな体たらくの一方、最大野党の自民党はといえば

自民党に報道チェック部隊、抗議や申し立ても(ヨミウリオンライン)

こんなことをやり始めているわけですよ。

 メディアチェックの導入は、石原幹事長が主導した。衆院の当選回数別の懇談会で、若手から「なぜ党の支持率が上がらないのか考えるべきだ」との意見が提起された際、石原氏は「自民党を批判するテレビのコメンテーターが悪い」と、テレビ報道に強い不満を示したという。

 組織がどんな報道をされているか、批評をされているかは、広報部門で粛々とチェックすればよい仕事だと思うのですが、表立ってメディアチェックなんてパフォーマンスを始めて何のつもりがあるのやら。

 ……というか、「マスコミからの弾圧攻撃を断固はねのけ云々」と声高に主張するどこかの労働組合と大して変わらないような、、、


 あんなに待ち望んでいた「政権交代可能な二大政党制」って、こんなものだったのか、、、とは、どうしても思いたくないんですけれども……。。。
author by よんなん
- | trackbacks (0)

復興大臣の辞任に思うこと

 典型的な「広報の失敗」の一つだと思います。

 あるいは、これは推測ですが、実は辞めたくてわざとやったか。……復興基本法が成立してじゃぁ大臣誰にするという段階でかなり固辞していましたし。

 個人的には、谷垣自民党総裁の「松本氏が『もう菅首相の下でやるのはいやだ』とやる気を失って、ああいう発言になったのではないか」という指摘はあながち的を外していないんじゃないか、と思っています。


 まるで人でなしのような論評が目立つ松本氏ですが、新聞に載っている「松本大臣はこんな人」的記事を読むと、どうやら「責任は大臣の俺が取るからお前ら思う存分やれ」みたいなキャラらしく、いわゆる「チームドラゴン」の部下の信頼は厚かったようです。

 どこぞの総理大臣より、チームとしての組織の力を引き出す能力はよほど優れていると思うんですけども。


 そうはいっても、もちろん松本龍氏に会ったことなんかないですし、実績といえば昨年のCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)という、発展途上国と先進国で平行線のまま一致しない大荒れの会議を、土壇場でまとめあげた議長国の環境大臣、くらいしか知らない……というレベルでの話です。


 ただ、そんな松本大臣の方針も、とりたてて間違っていたとは思いません。

「みんながどういう知恵を出せるか、これからは知恵合戦だ。今度は知恵を出すところは助けますけど、知恵出さないやつは助けない」(岩手県知事に対して)

「私の基本的な立場はそれぞれの町で伝統や産業や文化が違うから、それぞれの話を聞いて、我々もしっかり見ながらやる。例えば、水産関係でも、(県内の漁港を)3分の1から5分の1に集約するって言っているけど、県でコンセンサスを得ろよ。そうしないと、我々何も知らんぞ」(宮城県知事に対して)

これからゼロベースで「まちづくり」をやるというところで、基本的には「地元の人がどうしたいか」は一番重要なことです。

 細かい部分で都市工学の専門家の“アドバイス”が必要になるところはあるかもしれませんが、根本的な部分が「内発的」であることは必須条件です。


 乱暴なたとえかもしれませんが、「おい国家当局! 『どうにかして』くれよ!」と言ってくるところと「我々は『こうしたい』と地域で合意したから、予算をくれ」と言ってくるところがあれば、そりゃ、真剣に向き合う相手は絞られてこようというものだと思います。


 そういう観点から見ると、それほど間違っているとも思いません。

 また、県内で合意が得られていない案件で、県当局サイドで勝手にまとめ上げて大臣に決済を仰いでも、そんな上から押し付けるだけの計画持ってくるな、というのも至極真っ当です。


 ただ、それ言っちゃまずいでしょ、と思うような発言が多々あったのも確かです。

 知事が後から入ってきただのどうでもよいこともそうですし、個人的には、岩手県知事に対しての「何市がどこの県とか分からん」というのが最たるものだと思いました。

 真意は何か別のところにあるにしても、「何市がどこの県とか分からん」大臣に復興案の決裁を仰ごうとする市町村なんかあるか、と思っちゃうのです。


 中身が正しくても、広報に失敗するとこういう結果になる好例ともいえますし、もしかすると冒頭に書いたように分かっていて確信的にやったのかもしれません。

 ただ、何か鬼の首でも取ったかのような論評にはひたすらしらけつつ、つらつらとこんなようなことを考えていました。
author by よんなん
- | trackbacks (0)

めずらしく芸能の話でも

杉崎美香、7歳年下の西武・涌井と熱愛!(SANSPO.COM)

 最近は寝坊が多い自分ですがもともと朝4時台に起きる派で、「めざにゅ〜」はありがたい存在です。……見始めたのは、確か2005年だったと思います。

 フジテレビに続いて日テレやNHKも朝4時台から朝の情報番組を放送するようになっても、「めざにゅ〜」派でした。


 ああそうとも! 杉崎キャスターのカレンダーや写真集も買ったさ! 悪かったな!!
当時の日記


 ……とまぁ意味のない前置きと放言はさておき、杉崎キャスターもずいぶん長く番組やってるよなぁ、もう32歳かぁ、と思うようになったわけです。

 同じ1978年生まれとしては、まだまだフケ込むには早いぞ杉崎美香! と応援したいのですが、ハイビジョンになったからなのかどうなのか、自分が番組を見始めた6年前とは変わったなぁ、という雰囲気は感じます。

 「女子アナ30歳賞味期限説」みたいなのには全く同意しない自分でも、24歳で番組に起用された頃の彼女のような次世代の人材が現れたらそれまで、という気はするのです。


 いつまで画面で見ていられることやら〜、と近ごろ思っていたら、冒頭のニュースですよ。

 そこまで考えて年下のオトコノコを射止めたのかどうかは知りませんが、仮にそうだとしたらなんと戦略的なことか、正社員アナウンサーと違うしたたかさだなぁ、と思いました。
author by よんなん
- | trackbacks (0)

日本版シエスタ

 きのう、きょう、と我が家の室温が30℃になりました。でもエアコンは入れません。

 ……節電、、という高尚な意識があるわけではなく、我が家の電力契約は8時〜22時が割高な契約だから(その代わり22時〜8時が激安)で、エアコンがガスヒーポンだったらとっくに冷房を入れていたと思います。

 きょうの午後は家を閉めて近所の市川市立信篤図書館へ行ったら、さすがに4台中2台とはいえエアコンが稼動していました。……図書館は窓を開けないですからね。


 そういえば今月の12日(日)に簿記の試験を受けた市立船橋高校の教室にはエアコンがなかったのを思い出しました。

 公立学校のエアコン設置予算には議会で賛否があるようで、「何のための夏休みか」「エアコンを設置したら夏休みをやめるのか」という意見には、なるほど、と思う部分があります。

 学校が長い夏休みを取る理由の一つは、「教室が暑くなって授業が困難だから」です。


 逆に言うと、世間のオフィスは「本来、就業に適さない環境をエアコンによってデスクワーク可能にしている」という考え方もできます。

 スペインには「シエスタ」という長い昼休みがあって、その代わり就業時間帯は一般的に8〜12時、16〜20時なのだそうです。(Wikipedia

 まさに13〜16時という、東京電力のCMで菅野よう子が「♪いちじよじ〜いちじよじ とっても暑いのいちじよじ〜」と歌うとおり、電力需要のピークになる時間帯は仕事をしないで昼寝をするわけです。……本来、デスクワークに適さない時間帯なんだから、合理的な考え方という気がします。

#それにしてもあのCM、16年も前の作品なんですね……もうそんなに前ですか、、、


 ただし、日本で「職住近接」という人はまれで、「じゃぁ昼休みはどこで過ごすのか」という問題が出てきます。……1日2回通勤では、せっかくの昼休みが自宅への往復で終わる人も多そうです。


 そういえば、KDDIがきのうから9月末まで、勤務時間を

「午前7時から正午まで」
「午前8時から13時まで」

の2通りにしてピーク時の電力使用量を4割カットするのだと新聞で読みました。

 ……明らかに勤務時間足りないじゃん、と思ったら「午後の2時間30分は自宅で勤務する」のだそうで。


 昼になったら昼食を食べて、電車に乗って帰宅して、一休みして仕事を再開すれば、おおこれは事実上のシエスタではありませんか。

 今夏、新しい勤務スタイルの導入は通信会社に先行例が多いような気がします。そりゃ「通信」が売り物なんだから、自宅と職場を通信回線で結ぶくらい先行事例として示すのは当然かもしれません。


 私の勤務先みたいに、「通勤需要があるから会社が成り立っている」ようなところだと、社員を在宅で勤務させる≒出勤させない、だなんて自社の存在意義を半分以上否定しているようなもの……だからなのかどうか、どうも取り組みが保守的になりがちな気がします。

 通勤需要が減っても収入を落とさないアイデアはいくらかあると思うのですが。
author by よんなん
- | trackbacks (0)

株主として気になること

 吹けば飛ぶような少ない持株比率ではありますが、一応、勤務先の株主でもある自分です。

 本当は「資産として勤務先の株を持つ」というのは、万が一、会社がひっくり返ると仕事と資産を同時に失うことになるので、非常に危険なことであります。

#逆に、業務を通じて会社の価値を上げられれば、持株数に応じて自分にもリターンがある、というモチベーションにもなりますが

 サラリーマンとして「持株会」を通じて資産形成をするにしても、一定の規模になってきたらいくらか売却して別の資産へ分散させたほうが賢明なんですが……それに気づいたのはリーマンショックのあと。。。

 リーマンバブル当時とまでいかなくても、せめて入社当時の株価まで戻らないかなー、という今日この頃です。


 さて、目下病気休職中で健康保険組合からの傷病手当金で生活費をまかなっています。

 主治医の先生から「○○社ともあろう会社が、復職プログラムや時短勤務の制度を用意していないのですか」とあきれられるのですが、どうやらよその会社には業務復帰がしやすい制度があるらしいのです。

 フルタイムでしか復職できないので、フルタイムで勤務できるレベルに回復するまで生活費はすべて傷病手当金のお世話になり続けることになります。


 で、その健康保険組合ですが、業界新聞の報道によると毎年赤字を出していて、積み立て金を取り崩して運営を続けているらしいんですね。

 ……まぁ、医療費負担だけじゃなくて、自分みたいにズルズル休んでいる社員の生活費の面倒まで見ていれば、そりゃぁ支出は増えるばかりでしょう。


 まさか積立金は「打ち出の小槌」じゃありませんから、いずれ底をつくのは明らかです。

 そうすると保険料を値上げするか、保険組合を解散して国民健康保険へ移行するか、という話になります。


 国民健康保険へは移行しないとすれば、組合健保の保険料は従業員と使用者で分担です。……あるいは、会社がまとまった額を積立金として新しく拠出するか、でしょうか。

 株主としては従業員の負担が増えるだけなら知ったことではありませんが、会社の負担が増えるとなると、(あくまで)株主という立場での話は変わってきます。


 であれば、「株主として」株主総会へ行って経営陣に

「復職制度の不備と、休職中の社員に傷病手当金を支給する健康保険組合の経営状況が、会社の経営において長期的な不安材料とならないのでしょうか」

こんなふうに質問したとしたら……「1人3問」のルールの中でうまく質問を組み立ててよほど建設的な中身にしないと、あの株主誰だ→まさに病気休職中の社員であることが判明→その後の社員人生オワタになりかねませんが。
author by よんなん
- | trackbacks (0)

時給5000円のアルバイト

 大学時代の後輩でフリーライターとして活躍中の小林拓矢さんのツイートにこういうものがありました。

大学の非常勤講師の報酬は安い。月に(1回ではない)1コマ3万円程度で、非常勤をいくつもかけ持ちして食べている人もいる。知られざる社会問題ではある。

 私はフリーランスではなく「宮仕え」の身なので、何を書いたところで「あなたにフリーランスの気持ちが分かるか」と言われればそれまでですが、このツイートには非常に違和感を持ったので感じたことを書きます。


 大学の授業は1コマ90分ですから、月4週として、非常勤講師の報酬3万円を時給換算すれば「時給5000円のアルバイト」ということになります。

 とはいえ、まさか何の準備もしないで講義しに行く先生もいないでしょうから、授業時間と同じ時間を準備に費やしたと仮定して時給を半分に見積もっても、時給2500円です。

 時給2500円ですか……あの、自分の月給の時給換算より相当いいお給料ですね。

 出るのか出ないのか分からないボーナスを考慮して、ようやく肩を並べられるかどうか、といったところです。

 翌年も同じ科目を担当すれば、あるいは同内容の授業を複数の大学で掛け持ちすれば、講義ノートを使いまわすなどの「工夫」も可能になってきます。


 もちろん、サラリーマンのように所定の勤務時間を拘束される=一定の労働時間(残業があればそれ以上)を確保できる就労形態と、朝から晩まで講義を入れられるわけではない非常勤講師では「それだけでは生活の糧にならない」点が異なるのは確かでしょう。


 ただし、いまどき、フリーランスのナレーター、声優、モデル、漫画家、著述業、役者といった職業の皆さんが、「副業を許される会社」ないし単純作業のアルバイトを見つけてひとまず生活の基盤を確保しながら活動することは決して珍しくありません。

 一方、大学の非常勤講師、すなわち“フリーランスの学者”が「講義の報酬だけではメシが食えない」ことが「問題」だと言うのは、、、「『メシを食うための仕事』はしない」とか「こんな現状の社会構造は認めない!」とか言ってふんぞり返っている(だけ)……ように感じるのです。


 大学が学者の育成を一切しないで必要な教員を非常勤講師のみに依存している、ということであれば大学の存立基盤に関わる話でしょうが、それは法人経営体としての大学当局が問題意識を持っていると思います。
author by よんなん
- | trackbacks (0)

しかるべき機関を通じ被災地に…

 少々旧聞に属する話ですが、日本赤十字社に寄せられた義援金の配分が遅れているというニュースがありましたね。(6月18日付毎日.jpの解説

 表題の言葉は、今春の東京六大学野球リーグ戦で義援金の呼びかけがあったときのアナウンスです。


 「しかるべき機関」ってどこだよー、と思ってましたが、こういうニュースがあるとなるほど赤十字じゃだめだなと思うわけです。

 4月のリーグ戦開幕時点で義援金をどうするか明確にしないで先送りしたのは賢明でした。

 アマチュア野球団体に集まったんですから、生活資金として送らなくても、野球場の復旧費や野球用具の購入資金にしてもらう、というのも選択肢の一つでしょう。


 といっても、東京六大学野球連盟に集まった義援金のその後は「被災地に送る」としか報じられていないのですが。(スポニチ産経

 連盟公式サイトにもトップページに「募金活動についての御礼」と題して「被災地に送ります」としか書いてありません。

 コンビニの店頭募金だって、どの機関に納めたか掲示しますよねぇ。

 4,248,842円、どこへ行ったんでしょう。


 自分は一円も寄付しなかったので知ったことじゃないんですけれども。(何)
author by よんなん
- | trackbacks (0)

高い授業料

 わが国は現在「政権交代可能な野党を育ててこなかった」とても大きな授業料を払っている、と思っています。

 というか、旧来の自民党に見切りをつけるのが遅すぎたというか。

 ……そうはいってもまさか、旧社会党に政権なんか任せていたらとんでもない国になっていたでしょうから、野党が再編されて現在の民主党ができてからです。


 「たられば」の話をしても仕方がないんですが、遅くても民主党が「岡田500日プラン」を掲げ、小泉内閣が「郵政」のみを争点にした2005年の総選挙で旧来の自民党に引導を渡しておくべきだった、というのが自分の考えです。

 その後犯罪人として収監されることになる人を自民党の幹事長が「我が弟です! 息子です!」とまで言ったあの選挙でわが国が失ったものは多すぎた。。。


 仮に2005年で「岡田内閣」ができていたとして、2009年の総選挙で引き続き民主党政権が続いたか再び自民党が返り咲いたか、は分かりませんけれども、「新生自民党」であれば福田康夫氏や麻生太郎氏なんかも今ごろはもうちょっとまともに総理をやってられたんじゃないかなぁ、と残念に思ったりするわけです。


 現在の総理大臣の体たらくを何から何までやり玉にあげて「スッカラ菅」だの「いやんバ菅」だの言っていかに「自分はヤツらと違ってまともな思考である」か主張するのも結構ですが、私から見れば旧社会党と同じで「建設的な意見を言わずに反対だけしている人」にしか見えません。ごめんなさい。

 自分ですか? 自分には建設的な意見が思い浮かばない(思い浮かぶくらいなら仕事できます)ので、不満は持ちつつも「これは授業料だ」と思うしかないと考えています。


 強いて言えば、仮に現在総選挙があったとして自民党に再度政権を任せられるとは考えられない状況のもと、日本でようやく世界に追いついて実現できた「二大政党制」すら実はすでに時代遅れなのかもしれません。

 現在の議院内閣制・二大政党制に代わって何か別の体制を考えられれば声を大きくして現政権・現体制を批判しつつ堂々と意見を述べられるのではないかと思います。


 さもなくば、現在の民主党政権のありようは甘受しつつ、自民党はあと2年辛抱して「政権交代可能な野党」に生まれ変わって戻ってこい、と思うしかないでしょう。

 なにかといえばすぐ「内閣不信任」などと言い出す自民党その他勢力を見る限り、ひとまずはドイツのように議会が次期首相を明示しないと不信任案を可決できない「建設的不信任」制度を取り入れるのが現実的なところと考えます。
author by よんなん
- | trackbacks (0)

ニニウという集落と公立学校

IMGP2935.jpg きのう北海道の石勝線で起こった特急列車の脱線・火災事故で、事故現場となった「第一ニニウトンネル」(ここ)という文字で久しぶりに「ニニウ」という地名を目にしました。

 夕刊でしかもトップではないとはいえ、一面で「ニニウ」の文字を目にするとは……。

 北海道の占冠村にある無人の集落「ニニウ」は、「ニニウへ急げ!」という特集サイトがあるほど、知る人には知られた場所です。

 自分も、昨年の秋に北海道へ行った際にぜひ立ち寄ってみたいと思っていましたが、あいにく道路が災害通行止めで行くことはかないませんでした。

 ……現在も通行止めのはず(参照→胆振管内上川管内)で、消防・警察・報道・そしてJRはどうやって現地入りしたのか分かりませんが、ニニウへ陸路で入るには道道610号線〜136号線のルートしかありません。ニコニコ動画に2009年時点の走行映像がUPされています。(その1その2
(事故現場に隣接する清風山信号場=ニニウ駅になるはずだった場所へは「その2」の動画の0:51付近に見える分岐路を左折する)

 国道ではない道道とはいえ、立派な悪路です。。。


 事故の原因究明や復旧は関係各者の仕事で自分がどうこういう話ではないニュースなのですが、そんなわけで個人的に以前から(中学3年の春休みに北大へ進学した中高鉄研の先輩から「ニニウ」という地名を聞かされてから)注目していた「ニニウ」がニュースに出てきたものですから、久しぶりに「ニニウへ急げ!」を読んでみました。

 集落がなくなって住民がいなくなると地名もなくなる例もあるんですが(例:北海道下川町の下川鉱山は閉山とともに住民がいなくなったので集落の地名「ペンケ」が消えて隣の「班渓」にまとめられた)、ニニウは住人がいなくなっても地名がそのままです。

#なんと郵便番号まである!(日本郵政のページ


 「ニニウへ急げ!」のこのページによると集落がなくなったのは昭和49年度いっぱいで「新入(ににゅう?)小中学校」が閉校したことが直接的なきっかけだったようです。

 ……公立学校の閉校で集落が消えた例といえば、去年の秋に訪れた志美宇丹が記憶に新しいです。

 いまも昔も、学校が限界集落の防波堤になっているんだなぁと思いました。

 集落の戸数が少なくなっても、せめて公立小学校さえあれば校長・教頭・クラス担任の3人が赴任(=3世帯が定住)します。中学校もあればさらに科目別の教員も赴任します。

 教員が集落から去ると、給与所得者が一気に減った集落から次は郵便局がなくなります。郵便局は集落で唯一の金融機関でもありますから、郵便局がなくなると現金を引き出せなくなります。……集落での生活が一気に困難になることは想像に難くありません。


 志美宇丹とは峠を一つ越した仁宇布では集落の子が軒並み学校卒業の年齢に近づくと「山村留学」と銘打って都会から生徒を呼び集めて学校を維持してきました。……教員が残っただけでなく、山村留学に来た子とその親が定住するケースも出始め、集落の人数も増えているようです。

 山村留学はあまり成功している事例がないようですが、住民が引き続きその地での生活を望むなら、小中学校に通う世代の子を産むなり国内海外問わず留学生を呼ぶなり、なんとしてでも学校を維持するのは効果が大きいでしょう。


 一方で、和寒町福原のように小学校がなくなり郵便局もないのに集落で生活が続いている例もあるにはあります。一つとなりの集落(和寒町西和)まで6kmくらい、町中心部までも15kmくらいしか離れていないのと、旭川に比較的近いからでしょうか?


 「ニニウへ急げ!」でも触れられていますが、ニニウで残念なのは、集落が無人になってから鉄道が通り(駅の設置予定はあったので信号場になった)、送電線が通り、そしてついに高速道路までが通る(2011年秋開通予定)ようになったことです。

 ニニウのために作られた鉄道や送電線や高速道路ではなく、その先に帯広や釧路、根室という都市があるからなのですが、なんとももったいない話です。
author by よんなん
- | trackbacks (0)
  1. 無料アクセス解析