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復興大臣の辞任に思うこと

 典型的な「広報の失敗」の一つだと思います。

 あるいは、これは推測ですが、実は辞めたくてわざとやったか。……復興基本法が成立してじゃぁ大臣誰にするという段階でかなり固辞していましたし。

 個人的には、谷垣自民党総裁の「松本氏が『もう菅首相の下でやるのはいやだ』とやる気を失って、ああいう発言になったのではないか」という指摘はあながち的を外していないんじゃないか、と思っています。


 まるで人でなしのような論評が目立つ松本氏ですが、新聞に載っている「松本大臣はこんな人」的記事を読むと、どうやら「責任は大臣の俺が取るからお前ら思う存分やれ」みたいなキャラらしく、いわゆる「チームドラゴン」の部下の信頼は厚かったようです。

 どこぞの総理大臣より、チームとしての組織の力を引き出す能力はよほど優れていると思うんですけども。


 そうはいっても、もちろん松本龍氏に会ったことなんかないですし、実績といえば昨年のCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)という、発展途上国と先進国で平行線のまま一致しない大荒れの会議を、土壇場でまとめあげた議長国の環境大臣、くらいしか知らない……というレベルでの話です。


 ただ、そんな松本大臣の方針も、とりたてて間違っていたとは思いません。

「みんながどういう知恵を出せるか、これからは知恵合戦だ。今度は知恵を出すところは助けますけど、知恵出さないやつは助けない」(岩手県知事に対して)

「私の基本的な立場はそれぞれの町で伝統や産業や文化が違うから、それぞれの話を聞いて、我々もしっかり見ながらやる。例えば、水産関係でも、(県内の漁港を)3分の1から5分の1に集約するって言っているけど、県でコンセンサスを得ろよ。そうしないと、我々何も知らんぞ」(宮城県知事に対して)

これからゼロベースで「まちづくり」をやるというところで、基本的には「地元の人がどうしたいか」は一番重要なことです。

 細かい部分で都市工学の専門家の“アドバイス”が必要になるところはあるかもしれませんが、根本的な部分が「内発的」であることは必須条件です。


 乱暴なたとえかもしれませんが、「おい国家当局! 『どうにかして』くれよ!」と言ってくるところと「我々は『こうしたい』と地域で合意したから、予算をくれ」と言ってくるところがあれば、そりゃ、真剣に向き合う相手は絞られてこようというものだと思います。


 そういう観点から見ると、それほど間違っているとも思いません。

 また、県内で合意が得られていない案件で、県当局サイドで勝手にまとめ上げて大臣に決済を仰いでも、そんな上から押し付けるだけの計画持ってくるな、というのも至極真っ当です。


 ただ、それ言っちゃまずいでしょ、と思うような発言が多々あったのも確かです。

 知事が後から入ってきただのどうでもよいこともそうですし、個人的には、岩手県知事に対しての「何市がどこの県とか分からん」というのが最たるものだと思いました。

 真意は何か別のところにあるにしても、「何市がどこの県とか分からん」大臣に復興案の決裁を仰ごうとする市町村なんかあるか、と思っちゃうのです。


 中身が正しくても、広報に失敗するとこういう結果になる好例ともいえますし、もしかすると冒頭に書いたように分かっていて確信的にやったのかもしれません。

 ただ、何か鬼の首でも取ったかのような論評にはひたすらしらけつつ、つらつらとこんなようなことを考えていました。
author by よんなん
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