国鉄が私鉄になれなかったところ

 生まれ育った地元の京葉線について、私的に(←重要)つらつら考えております。

 少し強い風が吹いたら止まっちゃうし、新浦安から総武線沿線へ出るには西船橋方面は1時間に2〜3本しかないし、JRで都心まで乗ると運賃安くないし、かといって地下鉄東西線は西船橋へ行く本数が圧倒的に多い+都心へ出るには地下鉄が安い(渋谷や新宿へはJRの半額程度)といっても浦安駅までのバス賃や時間を考えれば、新浦安駅近辺に家がある身にとっては「ないよりマシ」程度に思ってたほうがよさそうな電車であります。

 あれはなんとかならんものか……。


 さて、幼い頃は浦安に東西線しかなかったのでよく乗りましたが、幼稚園児ながらも勝手に

「長い鉄橋を渡ると快速通過待ち駅がある法則」

なんてのを見つけて悦に入っていたものです。


 都心方面から東西線に乗ると、トンネルから地上に出て荒川中川橋りょう(私鉄単独では日本一長い鉄橋)を渡って、葛西駅があります。快速通過待ちがある駅です。
(西葛西駅はあとからできた)

 行徳駅を過ぎて第二江戸川橋りょうで江戸川を渡り、もしかして……と思っていると、同じように快速通過待ちがある原木中山駅があって、幼稚園児の自分は予想が当たって内心大喜びでした。


 ただ、以来30年近く「長い鉄橋+通過待ち駅(=連動駅・Wikipedia)」の組み合わせなんて何かの偶然だろうと思ってました。

 が、きのう、京葉線について考えているうちに


強 風 規 制 時 に 折 り 返 し 運 転 が で き る よ う に し て あ る ん じ ゃ な い か !


と、はたと気づきました。……30年間、どこに目玉をつけて鉄道マニアやってたんだか。。。


 荒川で風が吹けば、西船橋〜葛西で折り返し運転ができます。西船橋駅へ出られれば、総武線だって京成線だってあるわけです。

 江戸川で風が吹けば、原木中山駅で折り返し運転ができます。……といっても、西船橋駅は原木中山駅の次ですし、総武線の下総中山駅も徒歩圏なのでそこまでして輸送を確保する必要はないのかどうか、のちに折り返しができる設備は撤去したそうですが。
Wikipediaによると、国鉄のストライキが頻発して西船橋駅が機能しなくなっても原木中山始発ができるようにするための設備だった……とか??)


 ひるがえって、京葉線はどうでしょうか。

 蘇我方面へ折り返し運転ができるのは新木場駅だけです。

 よりによって、荒川の鉄橋があるのは新木場〜葛西臨海公園です。……荒川で強風が吹くと、京葉線には折り返し運転をできる駅がなくて電車が全線で止まるのです。

 せめて舞浜駅かそこらに折り返し設備があれば、旧江戸川・荒川・曙運河で強風が吹いても、西船橋・蘇我方面への輸送だけは確保できるのに。


 JRになって1〜3年後に開業した新木場・東京方面は、国鉄時代に開業した西船橋〜千葉みなとに比べてかなりスリムな印象があります。

 西船橋〜千葉みなとは、西船橋を出ると南船橋、新習志野、海浜幕張と連動駅が3駅も続いて、どの駅でも西船橋・東京方面へ折り返し運転ができます。

#海浜幕張駅の折り返し設備ができたのは1995年ですが、高架橋は開業時からあって線路を敷くだけでしたし、さらに、まだ何か作れるような準備工事の跡が南船橋駅などに見てとれます。

 新習志野に車庫があるから、という側面もあるにせよ、安定輸送の確保や運転系統を考えると、そんなに折り返し駅が要るのか、設備が過大気味じゃないのかという印象があります。(個人の印象です) 


 一方、JR開業区間の西船橋〜東京は、折り返し駅が新木場駅しかありません。……ゆえに、荒川で風が吹けば京葉線は全線が止まるという脆弱性を持っているわけで、国鉄開業区間の重厚長大なスペックをちょっとでも分けてほしいくらいです。

 折り返しの渡り線こそないものの連動駅が2駅ありますが、葛西臨海公園駅は荒川と旧江戸川の間にあって折り返し設備を作っても輸送の安定性にはあまり貢献しなさそうですし、新浦安駅で折り返したって、一大需要地が舞浜にあるのに何のための折り返し運転か、という話です。

 ……もちろんJR開業区間の仕様が、民営化後=開業1〜3年前なんていう間際に決まったとも思えず、どの駅にどんな設備を置くか決めたのは国鉄時代だったのでしょうが、国鉄が私鉄流の経営を目指したもののノウハウが不足していた時期の(負の)遺産のような気がします。


 たぶん、特急がビュンビュンかっ飛ばすのを最優先で考えて、そうすると各駅停車や快速電車が待避するのは葛西臨海公園と新浦安が最適だったんじゃないか、くらいしか思いつかないです。……そんな特急列車も、京葉線の最高速度は100km/hに押さえられたままですし、いまやアクアラインのおかげで特に内房線直通さざなみ号は風前の灯です。


 同じスリムにするのでも、営団地下鉄が風規制区間に隣接した葛西駅と原木中山駅にピンポイントで待避線+折り返し設備を置いて、残りは全部停留所にしたような思想はみじんもなさそうです……。

#そんな東西線も、行徳〜原木中山の車庫に出入りするための下妙典信号場が妙典駅になって、ここでも快速通過待ちをするようになってからは、原木中山駅の設備をもてあまし気味のように見えますけれども。


 運転規制が発生しうる場所を考慮して折り返し設備を置く、優等列車の待避などの機能もそこにまとめてスリムな設備にする、という点で、1988〜90年開業の京葉線をJRに引き継いだ国鉄は、1969年に東西線を開業させた営団地下鉄に比べて20年は遅れていた、というべきかもしれません。


 ついでにもう一つ書くなら、二俣新町駅のホームは何で京葉線の電車しか停まれないような場所に作ったのか……。京葉線の各駅停車って、もはや二俣新町駅のためだけに走っているようにしか見えないんだよな。。。

 個人的には、(たとえば二俣新町駅に南船橋方面の武蔵野線直通電車が停まれるようにしたと仮定して)武蔵野線直通電車を京葉線内各駅停車にすれば、京葉線って快速電車だけ走ってれば事足りて、その余力で西船橋発着の電車が増えれば喜ぶ人はきっと多いのではないかという気がするのです。(個人的な考えです)


 もともと貨物線として計画された路線を転用したから、旅客を運ぶのに適した形はしていない……のかどうかは知りませんが、立派な高架橋が延々と連なっているわりには活かしきれない設備をしているなー、と新浦安へ帰るたびに思います。
author by よんなん
- | trackbacks (0)
  1. 無料アクセス解析