熊の手洗湯

天気はあいにくの雨でしたが、スキー・夕飯の後は温泉へ。
野沢温泉には13の「外湯」があって、自由に入れます。
が、湯が熱すぎるのも野沢温泉の特徴です。
この「熊の手洗湯」は13の中で最もぬるい浴場で、初心者向きです。
浴槽が2つあって、片方がぬるく、もう片方は熱いのですけれど、熱いほうでも東京都内の銭湯の熱いところ並みです。
ぬるいほうは、何人もの人が入ったりすると物足りないくらいぬるくなります。
2つの浴槽を行ったり来たりするのがちょうどよいようです。
苫前町の古丹別という集落から山奥へ20kmほど入った道道の行き止まりに「三毛別熊事件跡地」があります。
大正4年の冬、冬眠から覚めてしまったクマが空腹で凶暴化したまま人家を襲って皆殺しにした、という事件で、小説にもなっています。
「跡地」と言っても当時の家などが復元されて、ある種の観光地になっています。
が、北海道のガイドブック『なまら蝦夷』には「作らないほうがよかった」とまで書いてあり、作らないほうがよかった史跡なんてあるかいな、と、クルマを山奥へ走らせます。
人が住んでいるのは跡地の4〜5km手前までで、そこから先は無人の山中ではあるものの、道路は舗装されていますし、センターラインもありますし、気楽なものです。
……が、突如道がダートに。
ありゃ、道を間違えたかな、と思ったものの、「熊事件現場まで○km」という看板があり、このまま車を進めます。
そのうち、道幅も狭くなり、高い木の生い茂った森に入ってしまいます。
無人の山中、しかもこの先は行き止まり、道内の山奥では必ず見かける「ヒグマ注意」の看板。
しかもこの日は曇っていたので、なおのこと薄気味悪くなってきます。
こりゃ明らかに道を間違えた……と思っても、やはり「熊事件現場まであと200メートル」という看板はあり、来なきゃよかった、、、と思いつつ、さらに車で進みます。
たどり着いた現場は、本当にこんなところに人が住んでいたのか、と思うに充分な場所。
実際に熊に人が殺された事件の現場だけに、今ここでクマに出くわしてもおかしくなく、仮にそうなっても誰も助けてくれる人などいません。
それでも、せっかく来たのですから、クラクションを盛大に鳴らしてクマよけをしたつもりになり、恐る恐るクルマを降ります。
再現されている掘っ立て小屋をのぞき込むと、ノートが置いてあり、訪れた人が何か書けるようになっているようです。
電気もついておらず薄暗い小屋の中に足を踏み入れた瞬間、自分の足音とは違うタイミングで「ガサガサッ」という物音を聞いて、一目散にクルマに逃げ帰ってしまいました。
できるだけ、複数人で来たほうがよいスポットです。
命がけの肝試しがしたい人は、一人でどうぞ。。。
旭川駅でレンタカーを借り、道北を3日間ドライブすることにしました。
さっそく訪れたのは「明日萌駅」。
NHK朝の連ドラ「すずらん」の舞台になった駅です。放映は平成11年4月〜、ということはもう6年前のドラマなんですね。
子役の評判はよかったものの、ストーリーも前後のNHK東京制作「天うらら」「私の青空」と比べて暗い感じだったからか、あんまりパッとしなかった印象があります。
それはさておき、撮影に使われた駅そのものは今でも残されています。
本当はJR恵比島駅(留萌本線)という現役の駅で、「明日萌」はドラマの中での地名なんですけれども、周辺の道路標識には「←明日萌駅」なんていう表記もあって、すっかりこちらの名前で定着してしまった感じです。
(沼田町公式サイトの観光案内にも「明日萌」として紹介されていますし)
駅前の「中村旅館」として使われた建物には、沼田町役場関係と思われる方が常駐しており、ちょっとしたお土産も売っています。
私が滞在している間に観光バスも1台やってきていましたが、なにせ6年前のドラマですし、私は何度も訪れているので駅そのものは15分ほどの滞在であとにしました。
「←萌の丘 5km」という道路標識が目に入り、このまま次へ行ってしまうのもつまらないので寄り道してみることにしました。
てっきり、ドラマとは何の関係もないのだけどついでにPRしたくて命名したのか、と思いきや、ドラマに登場した場所なんだとか。
明日萌(恵比島)を一望できる丘で、むしろこちらの方が訪れる価値ありかな、と思いました。
まぁ、道内にこの程度の景色が望める丘はいくらでもありますけれども。
写真ではあまりいい感じに撮れていませんが、曇っていたとはいえ、この見晴らしの開放感に、北海道へ来たなぁ、と思ったのでありました。