三毛別熊事件跡地
苫前町の古丹別という集落から山奥へ20kmほど入った道道の行き止まりに「三毛別熊事件跡地」があります。
大正4年の冬、冬眠から覚めてしまったクマが空腹で凶暴化したまま人家を襲って皆殺しにした、という事件で、小説にもなっています。
「跡地」と言っても当時の家などが復元されて、ある種の観光地になっています。
が、北海道のガイドブック『なまら蝦夷』には「作らないほうがよかった」とまで書いてあり、作らないほうがよかった史跡なんてあるかいな、と、クルマを山奥へ走らせます。
人が住んでいるのは跡地の4〜5km手前までで、そこから先は無人の山中ではあるものの、道路は舗装されていますし、センターラインもありますし、気楽なものです。
……が、突如道がダートに。
ありゃ、道を間違えたかな、と思ったものの、「熊事件現場まで○km」という看板があり、このまま車を進めます。
そのうち、道幅も狭くなり、高い木の生い茂った森に入ってしまいます。
無人の山中、しかもこの先は行き止まり、道内の山奥では必ず見かける「ヒグマ注意」の看板。
しかもこの日は曇っていたので、なおのこと薄気味悪くなってきます。
こりゃ明らかに道を間違えた……と思っても、やはり「熊事件現場まであと200メートル」という看板はあり、来なきゃよかった、、、と思いつつ、さらに車で進みます。
たどり着いた現場は、本当にこんなところに人が住んでいたのか、と思うに充分な場所。
実際に熊に人が殺された事件の現場だけに、今ここでクマに出くわしてもおかしくなく、仮にそうなっても誰も助けてくれる人などいません。
それでも、せっかく来たのですから、クラクションを盛大に鳴らしてクマよけをしたつもりになり、恐る恐るクルマを降ります。
再現されている掘っ立て小屋をのぞき込むと、ノートが置いてあり、訪れた人が何か書けるようになっているようです。
電気もついておらず薄暗い小屋の中に足を踏み入れた瞬間、自分の足音とは違うタイミングで「ガサガサッ」という物音を聞いて、一目散にクルマに逃げ帰ってしまいました。
できるだけ、複数人で来たほうがよいスポットです。
命がけの肝試しがしたい人は、一人でどうぞ。。。