サンプリングが唯一の接点

 東京都心の職場に勤めているというのに、帰りに寄り道をする余裕もなく、ただ、朝起きて電車に乗って出勤して帰りはまっすぐ帰宅する毎日です。

 職場が入居するビルの正面玄関は新宿駅の出口の目の前にあるのですが、出勤のときだけ、少し遠い出口から出てぐるりと回って通用口からビルに入るようにしています。


 新宿は人通りが多いので、歩行者相手にいろんなものが配られています。


 ほぼ毎日いるのがサラ金のティッシュ配り。……サラ金はグレーゾーン金利がなくなって以来どこも経営が傾いていたと思いますが、アイフルは相変わらず配ってます。(アコムはTVCM流してましたっけ)

 7月に新宿駅近くにできたブックオフも、割引券付きのうちわを毎日のように配っています。……古本屋の大型店などとは、できれば寄って帰りたいところですが、残念ながらそんな余裕はないです。

 クーポン誌も、日によってホットペッパーから聞いたこともないようなのまで配られてます。ラックに置いてあるようなものを配るのにアルバイトを何人も雇ってペイするんだからすごい商売です。

 あと、食品メーカーが試供品のサンプリング(お菓子とかガムとか)や、小田急系列の商業施設がウェットティッシュなんか配ってたりします。


 異色なのは出会い系サイトのチリ紙で、「Amazonで発売中の本のご案内」と連呼して配っているのです。

 チリ紙を見れば、「ナントカメールで見つけた二人の恋!」みたいなタイトルで、本の宣伝というよりサイトの宣伝ですが、そりゃー仕事を選んでられない出版社見つけてISBNコードつきの本に仕立てられれば、どの書店でも流通するよねぇ、という気はします。

 リアル書店ならそもそも取次が配本するかどうかもあやしいでしょうが、ネット書店なら在庫があろうが取り寄せだろうが注文する側の手間(というかページの見た目)は同じですから、実際に本が流通するかどうかは関係ないのだと思います。


 ほかには、HISやJTBもときどきパンフレットを配ってるのを見かけます。……JTBのにはウェットティッシュが入ってました。

 自分はカバンに押し込む間もなく次々とティッシュをもらってしまうのですが、周囲を見ると手に抱えるほど無料品をもらう人などいなくて、ちょっぴりみすぼらしい気分になったりならなかったり。


 起きる→出勤→仕事→終業→帰る→寝る、と、俺は会社のために生まれて育ってきたのかそれはあまりにむなしいんではないかと思ってしまいそうな毎日ですが、新宿駅を出て交差点に達するまでのほんの200メートル足らず、時間にしたら3分とかからない程度の「サンプリングストリート」(と自分が勝手に呼んでいる)は、唯一の、家と会社以外の一般社会とつながる場所であり時間だったりします。

 ……なんて書くと、世界観小さいなぁ、と思われるのでしょうが、いまの自分にはこれが精一杯です。
author by よんなん
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