伊予鉄道 郊外電車の運転にまつわる設備ほか
2011.09.06 Tuesday | よんなん的旅行 > 2011年夏の青春18きっぷ
伊予鉄道の郊外電車に乗ってまず度肝を抜かれたのは発車のシーンです。
古町から乗った高浜ゆきの最後部で観察していると、車掌が客室のドアを閉めると合図なしに勝手に電車が走り始めます。
厳密には「勝手に」運転士が発車させるのではなく、ドアが閉まると運転席にランプがつくのでそれが合図、というわけです。……旧国鉄のこのやり方を継承したJR各社が次々とブザー合図へ改めているなか、このやり方をしている私鉄があったのか!
Wikipediaの「車掌による出発合図」によると、我が国ではJR東日本と伊予鉄道だけだそうです。
おまけに、見ていると車掌が車イスの乗客対応をした駅では、対応が終わると車掌は客室ドアから車内へ入り、車掌が乗務員室へ戻る前に運転士が先頭の乗務員室のスイッチでドアを閉めているじゃありませんか。
臨機応変といえば臨機応変なのですが、この会社の規程はどうなっているんだ!? と驚くばかりです。
「知らせ灯式」当時のJR東海でも、飯田線や身延線の車掌が旅客対応をするため運転士がドアを扱うケースはありましたが、その場合は車掌が乗務員室へ戻ってからブザー合図で発車でした。(3年前に乗ったときの記事)
また、この高浜ゆき電車は、社内便(?)の輸送列車らしく有人駅で車掌さんが駅員さんへ手提げ袋を手渡しているのですが、駅員さんはホームに出てくるのではなく、車掌さんも駅に着く前から乗務員室の扉を開け放して(この到着姿勢は京成電鉄などでも見られますが)まだ走っている電車から、地上で手を伸ばしている駅員さんへポーンと渡しています。
まるで往年の通過タブレット授受のよう、というか、曲芸のよう、というか……。
高浜駅から折り返して横河原へ向かう先頭で観察していると、運転士は「知らせ灯」を合図に発車させているというより、「待ちノッチ」です。
(ドアが閉まらないと電車が動く電気回路がつながらない=ドアが閉まると回路がつながるので、あらかじめアクセルを踏んでいるようなもの)
待ちノッチはワンマン運行の路面電車でときおり見られる手法で、市内電車(路面電車)も経営している伊予鉄道らしいといえばらしいのかもしれませんが、いまどきJR東日本だってそんな操作しているのを見たことはありません。
ただ、途中から添乗者が乗ってくるとランプが点くのを待って電車を動かしていたので、正式にはそちらが正しいのでしょう。(たぶん)
さて、設備に目を転じると、不思議なのが直線区間上にある速度制限標識と、(おそらく)速度照査用の保安設備。
地上子(写真の線路上にある白い板)の上だけ徐行して、過ぎるとまた加速していたので、踏切の鳴動時分確保のためか何かでしょうか? それにしてはずいぶんあちこちにありましたが……。
遠方信号機に「減速」が現示されて、次に見える場内信号機が「注意」をすっ飛ばして「警戒」なのは、これで正しいんですが、群馬在勤時に乗り歩いたローカル線では見たことがなかったです。勉強になりました。
#単線区間で行き違い駅へ列車が同時に進入するときは一定の条件を満たさない限り場内信号機は「警戒」を現示して25km/h以下で進入させる……と、「鉄道に関する技術上の基準を定める省令の解釈基準」(国土交通省鉄道局長通知 平成14年3月8日国鉄技第157号)に書いてある
とはいえ、行き違い駅はすべてホーム手前付近に「25」の速度制限標識と、やはり速度照査用(と思われる)設備があったので、場内「進行」で勢いよく進入してきても、ホームにはゆっくり入ってくることになります。
それはそうと、やたらあちこちに「電圧確認」と書いてあるので、過去に電圧にまつわる何かがあったのだろうか?? と思って後で調べたら伊予鉄道は高浜線だけ600Vで郡中線・横河原線は750Vなんだそうで。
高浜線は市内電車(600V)との平面交差が2か所あるからでしょう。
……で、実際の運行系統は高浜線(600V)と横河原線(750V)が直通運転しているんですけども、高浜から横河原へ向かう電車の運転席の後ろでかぶりついていた限りでは、特に何かのスイッチを扱ったふうもなく、自分も電圧計の変化には気づかず。。。(知ってなきゃ見ねーよそんなもん!)
Wikipediaの「伊予鉄道」を見ると、特に電車を複電圧対応として作ってあるのではないそうです。
主回路は直流600Vが入力されようと750Vが入力されようと電車が動くのには問題ないとして、サービス機器用の「電動発電機」の類はちゃんと安定した電圧・周波数の交流100Vなどを出力してくれるのかしらん?
というか、直流電化鉄道の架線電圧って、平気で100〜150Vくらいは上下しますよねぇ? 「電圧確認」も何も、600Vも750Vもその「振れ」の範囲では……という気もします。
写真は、高浜駅(=600V区間)に停車中に撮った写真にたまたま写りこんでいた電圧計。……高圧(=架線電圧)はおよそ700V、低圧(=車上で変圧)は110V付近をさしています。
んー、そんなだったら電圧計をもうちょっとちゃんと見ておけばよかった!
ちょっぴり横道ですが、700系(旧京王5000系)の運転台に
「快適運転」
「大きな声で指差確認」
と書いてオレンジ色の制服を着たお兄さんが笑顔で手を挙げているイラストのシールが貼ってありました。
京王電鉄の古い制服は濃い茶色だったので、たぶん色あせてオレンジになっちゃった京王時代に貼られたステッカーじゃないかと思うんですが、少なくとも伊予鉄道には「大きな声で指差確認」なんてことしてる運転士いません。(笑)
#オレンジ色の制服というと東武鉄道の旧制服がそうでしたが……関連が思い当たらない
あとはめぼしいものといえば、伊予市駅に「出発信号」「出発合図」の札がついた表示灯があったくらいでしょうか。
「出発合図」のランプが点いても、車掌さんはホームへ上がってくる階段をのぞきこんで乗客を待っていましたが……誰がどうやってこのランプをつけるしくみなのかは、そこまで観察する気力はなかったです。
古町から乗った高浜ゆきの最後部で観察していると、車掌が客室のドアを閉めると合図なしに勝手に電車が走り始めます。
厳密には「勝手に」運転士が発車させるのではなく、ドアが閉まると運転席にランプがつくのでそれが合図、というわけです。……旧国鉄のこのやり方を継承したJR各社が次々とブザー合図へ改めているなか、このやり方をしている私鉄があったのか!
Wikipediaの「車掌による出発合図」によると、我が国ではJR東日本と伊予鉄道だけだそうです。
おまけに、見ていると車掌が車イスの乗客対応をした駅では、対応が終わると車掌は客室ドアから車内へ入り、車掌が乗務員室へ戻る前に運転士が先頭の乗務員室のスイッチでドアを閉めているじゃありませんか。
臨機応変といえば臨機応変なのですが、この会社の規程はどうなっているんだ!? と驚くばかりです。
「知らせ灯式」当時のJR東海でも、飯田線や身延線の車掌が旅客対応をするため運転士がドアを扱うケースはありましたが、その場合は車掌が乗務員室へ戻ってからブザー合図で発車でした。(3年前に乗ったときの記事)
また、この高浜ゆき電車は、社内便(?)の輸送列車らしく有人駅で車掌さんが駅員さんへ手提げ袋を手渡しているのですが、駅員さんはホームに出てくるのではなく、車掌さんも駅に着く前から乗務員室の扉を開け放して(この到着姿勢は京成電鉄などでも見られますが)まだ走っている電車から、地上で手を伸ばしている駅員さんへポーンと渡しています。
まるで往年の通過タブレット授受のよう、というか、曲芸のよう、というか……。
高浜駅から折り返して横河原へ向かう先頭で観察していると、運転士は「知らせ灯」を合図に発車させているというより、「待ちノッチ」です。
(ドアが閉まらないと電車が動く電気回路がつながらない=ドアが閉まると回路がつながるので、あらかじめアクセルを踏んでいるようなもの)
待ちノッチはワンマン運行の路面電車でときおり見られる手法で、市内電車(路面電車)も経営している伊予鉄道らしいといえばらしいのかもしれませんが、いまどきJR東日本だってそんな操作しているのを見たことはありません。
ただ、途中から添乗者が乗ってくるとランプが点くのを待って電車を動かしていたので、正式にはそちらが正しいのでしょう。(たぶん)
さて、設備に目を転じると、不思議なのが直線区間上にある速度制限標識と、(おそらく)速度照査用の保安設備。
地上子(写真の線路上にある白い板)の上だけ徐行して、過ぎるとまた加速していたので、踏切の鳴動時分確保のためか何かでしょうか? それにしてはずいぶんあちこちにありましたが……。
遠方信号機に「減速」が現示されて、次に見える場内信号機が「注意」をすっ飛ばして「警戒」なのは、これで正しいんですが、群馬在勤時に乗り歩いたローカル線では見たことがなかったです。勉強になりました。
#単線区間で行き違い駅へ列車が同時に進入するときは一定の条件を満たさない限り場内信号機は「警戒」を現示して25km/h以下で進入させる……と、「鉄道に関する技術上の基準を定める省令の解釈基準」(国土交通省鉄道局長通知 平成14年3月8日国鉄技第157号)に書いてある
とはいえ、行き違い駅はすべてホーム手前付近に「25」の速度制限標識と、やはり速度照査用(と思われる)設備があったので、場内「進行」で勢いよく進入してきても、ホームにはゆっくり入ってくることになります。
それはそうと、やたらあちこちに「電圧確認」と書いてあるので、過去に電圧にまつわる何かがあったのだろうか?? と思って後で調べたら伊予鉄道は高浜線だけ600Vで郡中線・横河原線は750Vなんだそうで。
高浜線は市内電車(600V)との平面交差が2か所あるからでしょう。
……で、実際の運行系統は高浜線(600V)と横河原線(750V)が直通運転しているんですけども、高浜から横河原へ向かう電車の運転席の後ろでかぶりついていた限りでは、特に何かのスイッチを扱ったふうもなく、自分も電圧計の変化には気づかず。。。(知ってなきゃ見ねーよそんなもん!)
Wikipediaの「伊予鉄道」を見ると、特に電車を複電圧対応として作ってあるのではないそうです。
主回路は直流600Vが入力されようと750Vが入力されようと電車が動くのには問題ないとして、サービス機器用の「電動発電機」の類はちゃんと安定した電圧・周波数の交流100Vなどを出力してくれるのかしらん?
というか、直流電化鉄道の架線電圧って、平気で100〜150Vくらいは上下しますよねぇ? 「電圧確認」も何も、600Vも750Vもその「振れ」の範囲では……という気もします。
写真は、高浜駅(=600V区間)に停車中に撮った写真にたまたま写りこんでいた電圧計。……高圧(=架線電圧)はおよそ700V、低圧(=車上で変圧)は110V付近をさしています。
んー、そんなだったら電圧計をもうちょっとちゃんと見ておけばよかった!
ちょっぴり横道ですが、700系(旧京王5000系)の運転台に
「快適運転」
「大きな声で指差確認」
と書いてオレンジ色の制服を着たお兄さんが笑顔で手を挙げているイラストのシールが貼ってありました。
京王電鉄の古い制服は濃い茶色だったので、たぶん色あせてオレンジになっちゃった京王時代に貼られたステッカーじゃないかと思うんですが、少なくとも伊予鉄道には「大きな声で指差確認」なんてことしてる運転士いません。(笑)
#オレンジ色の制服というと東武鉄道の旧制服がそうでしたが……関連が思い当たらない
あとはめぼしいものといえば、伊予市駅に「出発信号」「出発合図」の札がついた表示灯があったくらいでしょうか。
「出発合図」のランプが点いても、車掌さんはホームへ上がってくる階段をのぞきこんで乗客を待っていましたが……誰がどうやってこのランプをつけるしくみなのかは、そこまで観察する気力はなかったです。