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筆界未定!

 先月こんな記事を書いて、いくつか物件を見て回っていました。

 千葉駅から電車で30分少々の駅から徒歩圏に440万円で売りに出ている空き家があり、不動産屋さんに現地キーボックスの番号を教えてもらって内見すると、かなりきれいです。水平器を何か所か置いても傾きはありません。

 駅徒歩10分以上ですが、道路の道順は確かにその通りでも沿道の公共スペースを通り抜けすると半分くらいで行けることも判明。

 こりゃいい、と375万円で指値したところ、10万円押し戻されたものの385万円で売主が快諾され、不動産屋さんに契約書を作ってもらい、同窓の司法書士にも連絡を取りました。

 で、不動産屋さんから契約書案とともに現在の登記情報などが送られてきて目を通していたら、公図がこの物件の周りだけ隣地との境界線が描かれていなくて真っ白です。

 聞けば、自治体の地籍調査(測量)が入った折りに私道に面した1軒が立ち会わず、その1軒の敷地と、その家を含めた数軒で共有している私道に接した家は全部まとめて筆界未定になってしまったのだそうです。

 確かに、現地へ行ったとき、私道の奥にずいぶん長いこと放置されているように見える家が1軒あるな、と思ってはいました。

 えっ、いや待ってくださいよ。法務局に行ってもこんど僕が買う土地がどこなんだか分からない土地だってことですか。

 ……もちろん現地へ行けば、家も建っていますし隣家とは塀で仕切られていますし、どこが該当の土地なのかは一目瞭然なのですが。

 筆界未定じゃ分筆も合筆もできなければ、遠い将来、娘が相続に困って国庫帰属制度を使うにも使えないじゃないですか。

 とはいえ、境界に争いがあって筆界未定になっているのではなく、私道の共有者1人が所在不明でそうなっているのなら、対処のやりようがありそうです。

・所有者不明土地管理制度
・所在等不明共有者持分取得申立

 このあたりを活用して、所有者不明土地管理人を裁判所に選定してもらうとか、所在が不明な私道共有者の持分を手に入れる(対価は法務局に供託)とかすれば、解決は不可能ではないのかなとは思えます。

 とはいえ、所在不明の人のゆくえを突き止めて現住所に尋ねあたらないことを裁判所に示すには、弁護士か司法書士に依頼して職権で住民票を追ってもらう必要があります。

 そうして土地家屋調査士に頼んで再度測量をして(地籍調査時に測量できなかった土地の測量は自費!)法務局に手続きをすることになります。

 そうすると、軽く150〜200万円くらいは費用がかかりそうな気がします。
 士業の報酬や日当はばかになりません。

 これを売主と折半すると考えて、いったん合意した385万円から100万円値引きしてほしいと打診したら、値引きはせいぜい5万円だと返事がきました。

 は? 50万円の間違いでは?

 聞けば、この中古戸建は580万円で売りに出して買い手がつかず、徐々に値下げして440万円で売りに出ていること、580万円で売ったときは400万円で買って貸家にするという不動産投資家がいたこと、今回385万円で売却に同意したのは私が自己使用する予定だからで、さらに100万円値下げするくらいなら400万円の不動産投資家に声をかけることにする、とのことです。

 現金決済できる価格帯の地域なので、筆界未定でも売買時に銀行がお金を貸してくれなくて売却できないことはないのかもしれませんが、私にはどう見ても筆界未定のままではババ抜きのババにしか見えませんでした。

 その不動産投資家が買ってくれるといいですね……。

 私だったら、一度指値を断っておいて、あとになってその値段でよいから買わないかと売主から言ってきたら、絶対に足元を見ると思いますけれども。
author by よんなん
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