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感覚で経営する個人事業主など

「加盟店を論破するのが私の仕事」

 先日、大学OB会の席で、大手フランチャイズチェーン本部に勤める後輩君が自身の業務をこう紹介していました。

 こう言ってしまうと誤解を招く向きもあるのかもしれないですが、会社勤めのかたわら個人で貸家など経営していると、なるほどそうだなぁと感じる部分があります。

 私は我が家から徒歩圏で貸家を経営していますが、オーナーチェンジ物件だった貸家を買うにあたってこの地域の賃貸需要を調査したとか、家賃設定に何かデータの裏付けがあるとか、そういうことはありません。

「自分が住んで住みよいと思っているエリアなのだから、きっとこの貸家にも住む人がいるだろう」
「購入時点で入居していた人がこの家賃だったのなら、次の募集時もこの家賃が適切なのだろう」

程度のものです。

 これで成功しようが失敗しようが、自分が儲かるか儲からないかだけの話ですし、本業(会社勤め)の片手間で時間的なソースをそれほどさけるわけでもないので、別にそれで構わないと思っています。


 個人経営の事業体がすべてこんなレベルで経営をしているとは言いませんが、大手のチェーン本部は個人事業主レベルでは持ちえないデータをいろいろ持っていて、そのデータをもとに加盟店へ助言をします。

 ほとんどのチェーン店のロイヤリティは定額ではなくて売上なり利益なりに一定比率を掛けたものでしょうから、加盟店の売上や利益を引き上げるのもチェーン本部の仕事です。
(商品や材料をチェーン本部から仕入れさせるしくみだと、少し複雑になりますが)

 なかには私のようにろくに市場調査もせずに個人の感覚で参入したようなオーナーもきっといて、そのくせにチェーン本部の言うことを聞かない加盟店もあることでしょう。

 そういう場面では、チェーン本部の社員が加盟店をデータで論破することになります。


 ひるがえって、自治体や国家の運営も、データによらず個人の感覚でやっている面があって、少なからず国民の損失になっている部分もあるように考えます。

 行政機関は5年に一度の国勢調査をはじめ、行政運営に関する多くの統計を持っていて、ほとんどのデータは広く国民に公開されているはずですが、どうもこの首長や職員は感覚でモノを言っているんじゃないかと思う場面があります。

 わが国には民主主義という普通選挙で選ばれる人が行政機関の長になったり議会で立法をしたり行政を監視したりするしくみがあって、じゃぁその選挙で一票を投じたり政治家にモノを言っている人はどんな人なのか、というと、上で挙げたような感覚で生きている個人の集まりなわけです。


 もちろん、データだってモノによっては解釈の余地があったり、あるいはデータを押さえたうえであえて「政治判断」や「経営判断」が行われるときもあるわけですが、それだって数字を知らずに判断をするのではありません。

 冒頭の後輩君の一言で、そんなようなことを考えました。
author by よんなん
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