最低限の安全輸送
2011.09.08 Thursday | よんなん的旅行 > 2011年夏の青春18きっぷ
新見から芸備線に入り、備後落合を経て、三次・広島を目指します。
ローカル線を多く抱えるJR西日本に見られるのが「最低限の安全輸送」です。……鉄道の本来の特性である「高速大量輸送機関」としての役割を事実上返上している姿です。
JR本州三社は政府保有の株式がすべて売却された2002年に「完全民営化」され、政府が株主として経営に介入することはなくなりました。……が、JR会社法附則では引き続き「新会社がその事業を営むに際し当分の間配慮すべき事項に関する指針」(平成13年国土交通省告示第1622号)のもと、国土交通大臣により
について「指導及び助言」そして「勧告及び命令」ができることになっています。
……つまり、JR本州3社がローカル線を廃止するには、他の鉄道会社とは違ったそれなりのハードルがあるわけです。
そして現在、JR西日本の各ローカル線で見られるのが、「最低限の安全輸送」です。
もはや高速大量輸送機関としての役割を果たしえない区間でも廃止はせず、その一方で新たな設備投資もやめて、事故だけは起こさないように、明日にも撤退しそうな地方私鉄並みかそれ以上に突き詰めた体制で運行を細々と続けているものです。
手元に2001年5月の時刻表があるので、芸備線の「359D」の時刻を2011年9月の時刻表と比べてみると、
・2001年5月 備後落合12:59発→三次14:03着(所要1時間04分)
・2011年9月 備後落合12:39発→三次13:58着(所要1時間19分)
と、45kmあまりの区間を結ぶのに10年間で15分スピードダウンしています。……鉄道の歴史はスピードアップの歴史と思ったら大間違いです。
(45kmというと、京都〜大阪、東京〜大船・八王子くらいの距離)
沿線には「15」「20」「25」「30」といった速度制限標識があちこちにボンボン建てられて、列車はノロノロノロノロ走ります。
山あいの区間なので、落石や路盤流失を運転士が見つけてからでも列車が止まれるスピードでしか走らせないのでしょう。おそらく。
……従来であれば、線路のメンテナンス体制だったり落石や土砂崩れを検知するセンサーの設置、さもなくば斜面の補強工事などでカバーしていた部分だと思うんです。
2枚目の写真では字が潰れていますが、「20」の下に「5」と書いてあって、要はほんの5mの区間が20km/h制限だというわけです。(5m先に解除標も建っている)
ここまでくると、15km/h制限と、20km/h制限と、25km/h制限に何の違いがあるのかとすら思わされます。
おまけに部外者にとって不思議なのが、単線なのに上りと下りで速度制限箇所が違うことです。同じ単線の上でも列車の向きが違うと危険度も違うのかどうか。
もう一つよく分からないのが、黒板に黄色い「S」の標識と、青い板に白い字の「雨15」の標識。
1枚目と2枚目の写真のように速度制限標識の下に「雨**」(**は数字)だけがついている箇所がほとんどですが、「S」だけの箇所もあれば、写真のように「S」と「雨15」が併設されている箇所もあります。
この「雨**」というのは、運転士が降雨を認めたらその時点で適用なんでしょうか? それとも、一定の降雨量があったら規制がかかるのでしょうか?
それ以前に、3枚目の写真はもともと15km/h制限なのに「雨15」もついているのです。……たぶん解除標の場所が違うのでしょうけれども。
雨が降ったらここからどこまで時速何キロ以下で走るのが正解なのか、クイズにしたくなるのがこの場所。
「45」「S」「雨15」とあり、写真では小さくなっちゃってますがカーブ手前に、「45」の解除標識と「●」の標識があります。
45km/h制限がカーブ制限ではなく直線に設けられているというのがなんとも象徴的でありますけれども。
で、その先に、やけに細長くて青い制限速度解除標識があるのですよ。……これってたぶん「雨15」に対する解除標識だと思うんですよね。
じゃぁ「S」と「●」の意味って何なのかなぁ、と。
「S」や「●」は他のJR線でも見かけるのでおそらく国鉄時代からある標識で、「雨**」はJR西日本になってからついた標識か、と推察はしてみるものの、それだと「S」と「雨**」が両方ついている場合の説明がつかないです。
これはたぶん速度制限と関係ないんだと思うんですが、ところどころに建っている「曲」という字が書いてある黄色い看板も、これは何を意味するのかなぁ……と気になりました。
新見から芸備線の列車に乗ったら、備中神代までの伯備線区間で最初に見かけたので、てっきり振り子電車に関係する標識かと思ったのですが、芸備線に入ってからも見ることができました。むむむ。
こんなこと、部外者の自分が気にする必要なんかまったくなくて、プロの皆さんに任せて安心して乗ってればいいのに、遠くまで来て何をやっているのだろうか自分は……。
ローカル線を多く抱えるJR西日本に見られるのが「最低限の安全輸送」です。……鉄道の本来の特性である「高速大量輸送機関」としての役割を事実上返上している姿です。
JR本州三社は政府保有の株式がすべて売却された2002年に「完全民営化」され、政府が株主として経営に介入することはなくなりました。……が、JR会社法附則では引き続き「新会社がその事業を営むに際し当分の間配慮すべき事項に関する指針」(平成13年国土交通省告示第1622号)のもと、国土交通大臣により
輸送需要の動向その他の新たな事情の変化を踏まえた現に営業している路線の適切な維持及び駅その他の鉄道施設の整備に当たっての利用者の利便の確保に関する事項
について「指導及び助言」そして「勧告及び命令」ができることになっています。
……つまり、JR本州3社がローカル線を廃止するには、他の鉄道会社とは違ったそれなりのハードルがあるわけです。
そして現在、JR西日本の各ローカル線で見られるのが、「最低限の安全輸送」です。
もはや高速大量輸送機関としての役割を果たしえない区間でも廃止はせず、その一方で新たな設備投資もやめて、事故だけは起こさないように、明日にも撤退しそうな地方私鉄並みかそれ以上に突き詰めた体制で運行を細々と続けているものです。
手元に2001年5月の時刻表があるので、芸備線の「359D」の時刻を2011年9月の時刻表と比べてみると、
・2001年5月 備後落合12:59発→三次14:03着(所要1時間04分)
・2011年9月 備後落合12:39発→三次13:58着(所要1時間19分)
と、45kmあまりの区間を結ぶのに10年間で15分スピードダウンしています。……鉄道の歴史はスピードアップの歴史と思ったら大間違いです。
(45kmというと、京都〜大阪、東京〜大船・八王子くらいの距離)
沿線には「15」「20」「25」「30」といった速度制限標識があちこちにボンボン建てられて、列車はノロノロノロノロ走ります。
山あいの区間なので、落石や路盤流失を運転士が見つけてからでも列車が止まれるスピードでしか走らせないのでしょう。おそらく。
……従来であれば、線路のメンテナンス体制だったり落石や土砂崩れを検知するセンサーの設置、さもなくば斜面の補強工事などでカバーしていた部分だと思うんです。
2枚目の写真では字が潰れていますが、「20」の下に「5」と書いてあって、要はほんの5mの区間が20km/h制限だというわけです。(5m先に解除標も建っている)
ここまでくると、15km/h制限と、20km/h制限と、25km/h制限に何の違いがあるのかとすら思わされます。
おまけに部外者にとって不思議なのが、単線なのに上りと下りで速度制限箇所が違うことです。同じ単線の上でも列車の向きが違うと危険度も違うのかどうか。
もう一つよく分からないのが、黒板に黄色い「S」の標識と、青い板に白い字の「雨15」の標識。
1枚目と2枚目の写真のように速度制限標識の下に「雨**」(**は数字)だけがついている箇所がほとんどですが、「S」だけの箇所もあれば、写真のように「S」と「雨15」が併設されている箇所もあります。
この「雨**」というのは、運転士が降雨を認めたらその時点で適用なんでしょうか? それとも、一定の降雨量があったら規制がかかるのでしょうか?
それ以前に、3枚目の写真はもともと15km/h制限なのに「雨15」もついているのです。……たぶん解除標の場所が違うのでしょうけれども。
雨が降ったらここからどこまで時速何キロ以下で走るのが正解なのか、クイズにしたくなるのがこの場所。
「45」「S」「雨15」とあり、写真では小さくなっちゃってますがカーブ手前に、「45」の解除標識と「●」の標識があります。
45km/h制限がカーブ制限ではなく直線に設けられているというのがなんとも象徴的でありますけれども。
で、その先に、やけに細長くて青い制限速度解除標識があるのですよ。……これってたぶん「雨15」に対する解除標識だと思うんですよね。
じゃぁ「S」と「●」の意味って何なのかなぁ、と。
「S」や「●」は他のJR線でも見かけるのでおそらく国鉄時代からある標識で、「雨**」はJR西日本になってからついた標識か、と推察はしてみるものの、それだと「S」と「雨**」が両方ついている場合の説明がつかないです。
これはたぶん速度制限と関係ないんだと思うんですが、ところどころに建っている「曲」という字が書いてある黄色い看板も、これは何を意味するのかなぁ……と気になりました。
新見から芸備線の列車に乗ったら、備中神代までの伯備線区間で最初に見かけたので、てっきり振り子電車に関係する標識かと思ったのですが、芸備線に入ってからも見ることができました。むむむ。
こんなこと、部外者の自分が気にする必要なんかまったくなくて、プロの皆さんに任せて安心して乗ってればいいのに、遠くまで来て何をやっているのだろうか自分は……。