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ふるさと銀河線その後

IMGP0127.jpg 北海道で唯一、第三セクターで存続した旧国鉄・JRの特定地方交通線「池北線」改め「ふるさと銀河線」は20年近くの奮闘の末に力尽き、2006年4月廃止となりました。

 池北線以外の、バス転換を選択して平成元年までに一掃された各線は、鉄道施設の撤去が進んだり自然に還ったりして、跡をたどるのも年々難しくなっていますが、さてこちらはどうでしょう。

 ……ぬかびら源泉郷から日帰りで無理のない範囲、ということで、全長140kmあるうちの足寄〜岡女堂のおよそ15kmほどを見てきました。


 まず結論から。

 レールが剥がされた以外はほとんどそのままです。


 廃止になった2006年は屑鉄価格がかなりの値段だったはずで、レールという名の鉄の延べ棒はあっという間に累積赤字のカタに持って行かれてしまったことでしょう。


 ですが、およそ20年間のうちに池北線時代の駅舎から建て替えが進んでいたこともあってか、今回見た各駅は

・足寄駅=道の駅として改装工事中
 (隣接地に建替前の駅舎を復元して一時的に道の駅・バス会社事務所機能が移転中)
・仙美里駅=新駅舎がそのままバス待合所として活用中
・本別駅=引き続き道の駅として使用中
・岡女堂駅=新設された「本別町観光情報センター」の一角に保存。

といったふうに、そのままでした。……未確認ですが、仙美里郵便局の方のお話では南本別駅は何も残っていないとか。


IMGP0161.jpg とにかく、レールと枕木以外は、キロポストから勾配標、沿線電話の接続端子(さすがにケーブルは切ってあった)まで、ありとあらゆるものがそのままです。

 で、各駅の跡や沿線で見つけた信号・通信機器は、どれも1993〜97年製なんですよ。

 「三工社」じゃなくて「サンコーシャ」の通信機器って、初めて見た気がします。(同じ鉄道関係のメーカーなのに違う会社らしい……八王子の「村内」と「ムラウチ」以上にまぎらわしい!)

 1995〜97年にかけて駅扱いの閉そく方式からCTCでの集中管理になったのは知ってましたが、沿線電話の接続端子まで全部取り替えたんですか!

 延長140kmの沿線に一定間隔で設置して、いったいいくつ、いくらかかったんだろう。。。

 ……沿線電話機ではなく、車載の「携帯電話機」(市中の携帯電話とは別のもの)を接続する端子なんて、いまや鉄道博物館に飾ってあるような代物ですよ!

 そんなの、21世紀も目前という時に、新品買って取り付け工事までやっちゃったのか……鉄道モノって大量生産品じゃないからべらぼーに高い(はずな)のに! あーあー。


IMGP0024.jpg きのう、JR夕張駅(=無人駅)でホームにあった沿線電話機の箱を(勝手に)開けたら、中身はなんとも場違いな市販の電話機でした(写真)。JRもバカじゃないですからね。分かる人は分かってるんですよ。きっと。

 ふるさと銀河線は、たぶん沿線自治体出身の(鉄道には)素人の経営陣が、信号機器メーカーの言われるままに老朽取替しちゃったんだろうなぁ(推測)、、、そりゃ、億単位の基金もあっという間に尽きたわけだ。。。

 憶測ですが、新品の鉄道用接続端子(専用の電話機が別に必要)より、市販電話機と電話機サイズの箱を買ってきたほうが、はるかに安上がりで、緊急時の使い方も楽だったのでは。。。


 いまどきのローカル鉄道で列車の運転士と指令センターとのやり取りといえば、自社回線の整備ではなく市中の携帯電話網活用ですよ。

 沿線電話が老朽化したら、それは放置して(たとえば)ソフトバンクの携帯電話を列車の数だけ法人契約(=相互の通話は無料)したほうが、鉄道会社の身の丈に合っているというものです。災害時優先電話も各事業者が提供してますし。
(……それでも天地を揺るがす大災害だとつながらない…けど、最悪の場合でも鉄道は電話がダメならレール伝いに歩けばいつか駅員がいる駅に着く)

 1990年代中ごろ、という、携帯電話が爆発的に普及するほんの数年前、というのも悪いタイミングでしたね。。。


 どうしていつ潰れるか分からない三セク鉄道の沿線に、全国のJR電話へダイヤル一発で直通する「非常電話」(←まず使うシーンは考えられない)を整備する必要があったのやら。。。

 それとも、一部で噂があった、石勝・根室本線・ふるさと銀河線経由での特急「オホーツク」号高速化を、本気で考えていたのかどうか。。。

 いや、そもそも、いまどきJRの新型車には列車無線こそ積んであっても、「携帯電話機」なんて搭載されてないんじゃないでしょうか……?


 会社に通っていたころ、現職場で「メーカーの言いなりになるな!」は偉い人の共通言語でしたが、こうして、メーカーの言いなりに億単位の経営積立基金まで食い潰されてしまった鉄道会社の末路を見ると、同じ轍は踏むまいと思うのでした。。。
author by よんなん
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