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尖閣諸島漁船衝突問題

 普段は、実際に見てもいない事件についてあーだのこーだの述べるのを主題にするのは、このブログではあんまりやらないんですけれども。


 自分は、「検察が国内法に基づいて粛々と手続きを行った結果」だと信じたいですね。

 実際、珍走団(またの名を暴走族)がパトカーの停止命令を無視して衝突→「公務執行妨害」に道交法違反あたりのオマケがついたところで、前歴なしで特に背後組織(暴力団など)につながる重要人物でもなければ、警察署で数日お灸をすえられて釈放、ってところが実情だと思うんですよ。(そんなことありませんかね?)


 政府の対応で素晴らしかったと思うのは、前原外務大臣が「尖閣諸島に領土問題は存在しない」と明言し、クリントン国務長官に尖閣諸島が日米安保条約の適用対象である言質を取り付けたことです。

 一方で残念なのが、仙谷官房長官が22日午前の記者会見で

「戦略的互恵関係の中身をいかに豊かにするかが一番重要だ。そういう判断に基づいて対処しなければならない」

……要は、中国漁船がわが国の領海内で何をやらかしたか、ということより中国さんと仲良く(?)やっていくのが最重要で、それを判断基準にして政府は動きますよ、なんて言っちゃったことですよね。(さすが社会党出身!)


 今回の事件を(あくまで)“中国側の視点で”見れば、構図としては、北方領土近海で日本漁船がロシア当局に拿捕されるのに似ていると思うんです。そりゃぁ、日本政府だってロシアに漁師さんを無条件で早く返してくれって言いますわな。

 ただ、中国当局のパフォーマンスが上出来で、見事に我が国の足元をピンポイントで見ている、という点で外交(というか情報収集・分析)能力の差を見せつけられたなぁと思いました。


 …っていうか、それ以前に今回の容疑は「公務執行妨害」どころか「領海侵犯」じゃないの? と思いませんか? 私は思いました。

 それがWikipediaによると、単に航行するだけなら漁船だろうが不審船だろうが軍艦だろうが潜水艦だろうが国際法上は「無害通航権」が認められて、「領海侵犯」は問えないんだそうです。……はじめて知りましたよ。

 どうりで、日本の領海内に中国の軍艦やら潜水艦が平気で出没するわけですね。


 それこそ、我が国の国内法である海上保安庁法第18条では、

海上保安官は、海上における犯罪が正に行われようとするのを認めた場合(中略)であつて、(中略)財産に重大な損害が及ぶおそれがあり、かつ、急を要するときは

停船や拿捕、乗組員の下船等の措置を講ずることができる、となっています。

 つまり、漁船が違法操業をする寸前で阻止しようとした海上保安官に対する「公務執行妨害」であれば、「領海侵犯」を持ち出すのは難しいのではないでしょうか。

 もし、ただの漁船が日本領海内で魚を捕り始めるまで逃がしておいて「領海侵犯」で捕まえろ、と言うならば、まさしく海上保安庁職員の正義感を逆撫でする考えだと言わざるを得ないでしょう。(ただの漁船ではない不審船が相手なら作戦として考えられますが)

 ……まぁ、法律を専門に勉強したわけではないので、実際の解釈はどうなのか分かりませんけれども。
author by よんなん
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