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大学には行った方がいいか

 きょう久しぶりに会った方から、

知り合いの知り合いの知り合いが「大学へ行きたくない」と言い出して、専門学校出身の俺は、大学くらいは「親」というスポンサーがいるうちに出といたほうがいいと思うんだけど、大学を出てるタカハシさんはどう思います?

と聞かれました。

 また聞きのまた聞きなので詳しいことはよく分からないものの、高校2年生で、音楽をやりたいとかどうとか。


 音楽といってもどんな音楽をやりたいかによりますが、メシの種にするのが難しいジャンルであれば、まずは安定した収入を得る=安定した職に就くこと=最低限でも正社員の立場を得ることが最優先だと思います。

 東大へ行けちゃうほどの学力がある、だとか、世の中を変える仕事がしたい、学者になりたい、などの夢でもあれば別ですが、収入はきちんと確保しつつ趣味に生きたい、ということなら、いま通っている高校は出るとしても、大学は行っても行かなくてもいいんじゃないか、という気がします。

 この時代、学歴よりは資格と職歴のほうがモノを言うんじゃないか、というのが33歳にして社会人8年目、肩書きはヒラの自分の考えです。


 一昔前なら、「貧乏な思いをしない人生を送る手っ取り早い方法は、大学を出て会社で出世すること」だったかもしれません。

 でもそれは、結婚したら片方が専業主婦(まれに主夫)になって一家の大黒柱が家族を養うのが当たり前だった時代の価値観だと思います。

 きょうび、結婚しても夫婦が正社員で共働きなら、あるいは独身の正社員であれば、必ずしも出世を目指さなくても世帯収入はある程度豊かな暮らしをするのに充分な水準で得られるはずです。


 いまどき正社員をめざすのに大卒である必要はありません。

 むしろ大学を出ても、世に言う「ブラック企業」に職を得てしまう人や、職にも就けない人だって大勢いるわけで、学歴と生活の豊かさや安定度が比例するわけではなさそうです。

 そりゃぁタカハシさんは**社に本社採用で勤めているから「負け組」の気持ちなんか分かるはずがない……という向きもあろうかと思いますが、仮に今回のケースで「勝ち組」「負け組」の線引きをするなら、残業がそれほど多くない会社を探して正社員になれれば、充分「勝ち組」といえるのではないでしょうか。


 正社員になろうにも新卒で入れなかったらおしまいだ……というのも過去の話で、私の勤務先を例に出せば、年々、採用人数に占める社会人枠の比率は大きくなっているので、なにがしかの社会人経験を経てチャレンジすることも充分可能です。

 再チャレンジを目指す近道は、大学へ行くことより、社会人経験を積みながら技術系の資格(←重要)を多く取っておくことだと思います。


 そんなわけで、本人が大学へ行きたがらないのならまずは就職を目指すのが本人も家族も幸せなのでは? という考えを持っています。

#新卒時点で正社員にも契約社員にも派遣社員にもなりたくない、というのは料理人なり職人なりの道へ弟子入りするのでもない限り却下


 なにより、大学は後から行くこともできるのです。……実際、社会人経験がある学生のほうが意欲も高い傾向にあるようです。

 また、奨学金を借りて就職後に返している人は周囲に何人もいますし、通信や夜間の大学だってありますし、自分自身がスポンサーとなって大学へ行く方法もさほど珍しくはありません。

#ほかにも、大学へ行かせてくれる会社を探して就職する、などの方法もあります。

 ……って、それは親のスネをかじって修士号まで取らせてもらった自分が言えた口ではないのですけれども。
author by よんなん
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