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自分なんかいなければいいんだ

 実は、うつ病になってついに会社を休んで以来、こう思ったことが一度もなかったんです。「欝だ、死のう」っていうネットスラングすらあるほど典型的な症状らしいんですが。

 精神科・心療内科の最初の診察で「2つの約束」として「死なない」「会社をやめない」って、後者は分かるけど、死なない、って、何を大げさな、と思っていました。


 とはいえ、30歳を過ぎていい歳した子や兄が、結婚も仕事もしないで家でゴロゴロしていれば、やはり家族に好影響などあるはずがありません。


 ………きっかけは、明日から両親が1泊2日の旅行に行くことでした。

 家には自分と妹と飼い犬だけになるのですが、家事を分担してナントカカントカ……ややこしいことを考えるより、おのおのがセルフサービスということにして自分は新居で過ごそうかと考えたんです。
(犬の面倒はどうした、というのはさておき) 

 新居は当然ながら空き家状態で、1〜2週間に1回のペースで郵便受けのチラシを始末したり窓を開けたり水を出しに行ってはいますが、ガスレンジや給湯器なんて、はて、何ヶ月使ってないんだろうねぇ? フロの湯を沸かすにはちょうどいい機会です。

 夜も、ちょうど高校時代の友人と飲む約束をしており、新居なら乗り換えなしで帰れます。

 それに、髪も2ヵ月半切ってなくて伸び放題。……会社を休み始めのころは、床屋さんと30分も会話をするなんて無理! という具合でしたが、だいぶ調子もよくなり、行けそうです。
(最近までQBハウスでしたが、新居近くの床屋を行きつけの店に決めたのです)

 そのほか、通信教育の教材も新居へ持っていってしまって放ったらかしで、ちょっとは手をつけたいしなぁ、とか。


 おお、いいことばっかりじゃん! 妹も何なりと好きに過ごせてセルフサービス大いに結構だろうし、と思って話したら、とんでもない。家族から総スカンでした。

「よりによって留守番を頼みたいときに家を空けるとは何事?」
「新居に行くんなら家族が家にいるときにできないの?」
「お前のやっていることをまさしく『イジワル』というんだ」
「犬の面倒はどうするの?」(←これはごもっとも)
「さっきだって、調べ物を頼んだら『ご自分でおやりなさーい?』(←下手な真似)って、そういう態度じゃないか」
「お前考え方がおかしいんじゃないか?」

………

……



アタマがおかしいから精神科の世話になってるんじゃないかっ!


「そういうことじゃない、考え方のことを言ってるんだ」
「ウチにもいろんな患者さん来るけど、病気のせいなんかにされたらたまんないわ」
「そんなことだと、お前をそういう奴だと思わなきゃいけなくなるぞ?」

……



はいはい、僕は空気読めませんからね。そういう人だと思ってください。


 付け加えて何か言われましたが、ハッキリとは覚えていません。……確か、真人間になれみたいなことを言われた気がします。(家族としては当然のアドバイスですけど)


自分「バカとハサミは使いようだよ」
家族「はぁ?」


というやり取りでひとまずその場は終わりました。

 家の外では、親しい人の間で自分がいわゆる「KY」なのは「有名有名」(←某マイミクさん調で)な話です。

 もちろん、それがもとで口をきいてくれなくなった人だって大勢います(=確かに自分が損をしている)し、一方で一部にはKYなのを分かった上で相手をしてくれるありがたい人もいます。

 そういう、ごく一部のみなさんは“タカハシヒデノブ取扱免許”をお持ちなので、↑みたいなトラブルはあんまりありません。(皆無ではないですが)


 ……それでも、その場で部屋へ引きこもってしまえば進歩がないので、しばらく茶の間にいました。

 座椅子に寄りかかってボケーッとしていると、母親が台所で洗い物をしている背後から父親が明日の車中で読む本を示して「これカバンに入れておいてくれ」……と声をかける光景が目に入ります。

 そこで、自分の脳内蓄積データからは、母親には聞こえていないか当日忘れて父親が怒り始める数多の過去事例が出力され、、

「自分の荷物なんだから自分でやればいいのに」

という言葉が口から出てしまいました。


 実は、父親のカバンにはもう隙間がなく、まだ余裕のある母親のカバンに入れてもらう依頼だったのだそうで(まさにKY!)、まだ線香程度に煙が出ているところへマッチをつけて焚き木をくべる結果となり……

「すみませんすみませんすみません」
「悪かった悪かった悪かった」

と、昭和のいる・こいるのような言葉を残して部屋へ戻りました。。。λ.......


 1ヶ月と少し家でずっと家族と接して気づいたのは、父親もあと数年で「後期高齢者」という年代だからなのか、そろそろ診療所は徐々に閉めるか後進に譲りたいと考えているようだ、ということです。(あくまで推測)

 一方で、自営業者ならではの負債はまだ山のようにあるようです。(ただし伝聞情報)

 やめたいのに、やめられない事情がある。特に自営業者は休んだら収入ゼロです。


 そこへ、冒頭にも書きましたけど、30を過ぎた子が、結婚どころか仕事も休んで家でゴロゴロ好き勝手。

 「早く結婚しろ」と言えばプンスカし放題。

 そして、三食昼寝つきで実家に寄生した挙句、勤務先の福利厚生で(標準報酬月額の数割程度ではありますが)収入ゼロにはならないときたもんです。

(後日調べたら、これは社会健康保険の制度なので、自営業者の国民健康保険にも同様の制度がありました)


 いい影響なんか、あるわけないですよね。

 いくら産業医の先生が「大手を振ってゴロゴロしていいんですよ」とやさしくおっしゃってくれたって。

 父親も先生と同業で、一般人よりは病気に対する理解があるとはいっても、そこはやはり「人間だもの」。

 母親も、いつだったか洗濯物をたたみながら、このところ特にヒデノブの前で父親が怒りやすくなった、と言っていましたっけ。


 …自分のせいだ。

 ……消えてしまいたい。

 ………こんな自分、消えたほうがいいんだ。


 はじめてそう思いました。

 初診のときの約束がなかったら、いまごろ自分は警察署の霊安室にいて、父親が自分の検案書を作っていたんじゃないでしょうか。


 この家から消えるのなら、調子も徐々によくなってきたし新居へ生活拠点を移す、という格好の手段があるのですが、きっかけがきっかけですから。


 とにもかくにも、こんなふうに考えたのは初めてだったので、この場でこうして書きとめておこうと思います。
author by よんなん
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