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警察の取り調べ初体験

 先日、小田急のロマンスカーに乗っていたら、酔客が車掌に難癖をつけては叩いたり蹴ったりしていたので止めに入りました。

 そうしたら目撃者ということになって、調書を取りますからと町田警察署に呼ばれました。


 受付に来意を告げて通された「応接室」は、テレビドラマで見るのと全く同じ取調室。

 テーブルに、私が座るパイプイス、お巡りさんが座る事務用のちょっといいイス。
 あ、電気スタンドはありませんでしたね。


 さて、驚いたのは、私が来た時点で供述調書の大半が出来上がっていたこと。

 それというのも、当日時間を掛けるのも大変ですから、と警察の方に言われて、前もって電話で要点を話していたことと、すでに被害者の車掌と被疑者の酔客の取り調べは終わっていて、大体の話の流れは警察でも知っていたようだ、ということがあるのでしょう。

 にしても、前もって話したのは目撃した事実経過だけなのに、いつのまにか「〜のような光景を見て、私は……だと思い、不愉快でした」って、私の気持ちまで勝手に作文されてますし。


 まぁ、確かに止めに入ったとき酔客をなだめるのに言った言葉でもあるのでツッコミませんでしたが、お巡りさんが最初に読み上げるのを聞いて、別に「不愉快」という気分じゃなかったけどなぁと思わず笑ってしまいました。


 まぁほかにも指摘しようと思えば、私の肩書きは社内じゃそういう呼び方はしないんだけどなー、とか、酔客のことを「チンピラふうの男」って、いや、ただの酔っ払い中高年サラリーマンだと思った(名刺もどこかの会社の「部長」でしたし)けど…などと、際限がないのです。


 最後が「このような常識のない人は、警察で厳しく処分を下してほしいと思います」というような作文になっていた点も気になりました。
 常識がない、、、というか、酔っ払いですし、、、それ以前に、「厳しい処分」だとか、そういうのを決めるのは警察じゃなくて裁判所じゃないの、と。

 きっと、刑事裁判にはせずにせいぜい書類送検かその程度で終わらせてあげてください、と私が言っているようにしたかったんでしょうか。

 警察も検察も裁判所もそんなにヒマじゃないよ、という声が聞こえてくるかのようです。

 それとも、警察の権限強化を求める市民の声、ということにしたかったんでしょうか。
(警察の捜査段階ではあくまで推定無罪なのに、警察が処分できるなんて変ですが)


 ところで、そろそろ終わりという段階で、調書の控えがほしいと申し出ましたが、これは即座に断られました。

 あ、それから、意外にも自分で支払った交通費のほか日当も出してくれました。
 これが“裏金”の温床だと報道された“捜査協力費”なんでしょうか。

……書類を見ると、家を出た時間から帰るであろう時間までということになっています。

 うっかり、浦安の家に寄ってきましたなどと言ってしまったので浦安から町田までの時間が記されていましたが、高崎を出た時間からだともっとくれたんでしょうか。

 というか、交通費支給なら、町田駅から20分も歩かないでバスに乗ればよかった……とか、それこそ新幹線でくればよかった……などと思いましたが、もとはといえば税金ですから、自腹だったら出さないものをくれと言うのも変でしょう。


 そんなこんなで、およそ1時間半ほどで終了しました。

 今回のように、事実関係についてほとんど間違いがないならこんな調書でもあんまり問題ないのかもしれません。

 あの酔客があとで「目撃者があなたの行動を見て『不愉快だった』『常識のない人だ』と言っている」と、警察の作文を私が言ったかのように告げられるんだろうなぁ、とは思いますが、その程度でしょう。

 けれど、満員電車内での痴漢など冤罪の可能性が否定できない案件の場合も、警察が適当に作文した調書に、目撃者が少々おかしいと思いつつも面倒なのでさっさとサインして帰ってしまうこともありそうです。


 警察があらかじめ作文した供述調書に著しく相違がないならサインして終了、という流れは、決して望ましい状況とは思いません。

 しかし、その背景には、警察側も組織犯罪やら凶悪犯罪やらで忙しくなるばかり、というのと、協力する側も(所詮は任意ですし)ゼロからいちいち話すのも面倒という人もいるでしょうし細かい記述をめぐって警察とケンカするヒマも義理も被疑者に対して直接は持ち合わせていない、という問題点があるのではと思います。


 それにしても、貴重な体験でした。

 次回似たようなことがあって、警察が勝手に作文でもしようものなら少しはやりあってみようかなぁ、なんて思ったりはするものの、、、会社を数日は休む覚悟が要りそうです。
author by よんなん
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